「ひねり王子」誕生は会場の「トランポリン化」が原因? 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

「ひねり王子」誕生は会場の「トランポリン化」が原因?

このエントリーをはてなブックマークに追加
週刊朝日
“シライ”と名付けられたF難度の新技「後方伸身宙返り4回ひねり」 (c)朝日新聞社 

“シライ”と名付けられたF難度の新技「後方伸身宙返り4回ひねり」 (c)朝日新聞社 

 9月30日からベルギーで開催された体操の世界選手権で種目別のゆかで神奈川の県立岸根高校に通う2年生、白井健三選手(17)が金メダルを獲得した。跳馬とゆかの新技に、自身の名前“シライ”が命名されたほどの才能と強さの秘密はどこにあるのだろうか。

 今回の大会、個人総合では内村航平が4連覇を果たし、初出場の加藤凌平(20)が銀メダルを獲得した。この内村、加藤、そして白井の3選手には共通点がある。3人とも両親が体操の元選手なのだ。

 白井選手が生まれたのは両親と2人の兄も選手という体操一家。エースの内村と同じようにトランポリンが「遊び場」だった。小学生になると父親の勝晃さんと母親の徳美さんが開業した「鶴見ジュニア体操クラブ」で練習を続けた。

 2004年のアテネ五輪で金メダルを獲得した米田功氏(36)は「体操選手に求められる重要な空中感覚に、『今、自分がどちらを向いているのか把握する力』があります」と言う。

 並外れた運動神経を誇る体操選手でも、高速で回転していると上か下かわからない者もいるという。

「この把握力は幼いときから体操をすると磨かれるという説もあるんです。生まれたときから体操が身近なものとしてあり、ご両親は優れた指導者。率直に言って、僕が同世代の選手だったら嫉妬するでしょうね」

 84年のロス五輪で金メダルを獲得した森末慎二氏(56)は器具の発達が選手に求められる「能力」を変えたとも指摘する。

「例えばゆかなら現在の会場にはスプリングが入っています。僕が出場したロス五輪のときとは比較にならないほど弾むんです」

 かつての選手は自分でジャンプして回転するという筋力が求められた。ところが今は会場の「トランポリン化」が進み、「跳んだ後」が勝負を分ける。

 体操のルールに詳しい日本大学商学部の遠藤幸一准教授は「白井くんは床のスプリングを非常にうまく使う。あれは天性のものでしょう。だから太い足で力任せに跳ぶ必要がない。スリムな筋肉でしなやかに舞う。瞬発力が増し、回転のスピードが速い。だから4回もひねることができると思います」という。

週刊朝日 2013年10月18日号


トップにもどる 週刊朝日記事一覧

続きを読む

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい