皇室が2020年五輪招致に「一線超えた」 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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皇室が2020年五輪招致に「一線超えた」

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「待望論」の出ている皇太子ご夫妻 (c)朝日新聞社 

「待望論」の出ている皇太子ご夫妻 (c)朝日新聞社 

 2020年夏季五輪開催都市を決める国際オリンピック委員会(IOC)総会(ブエノスアイレス)が目前に迫った。宮内庁は8月15日、IOC総会を前に、高円宮妃久子さま(60)と三笠宮彬子さま(31)がアルゼンチンを訪問すると発表。戦後初めて、皇室が五輪招致活動に積極的な姿勢を見せている。宮内庁は言葉を濁すが、これは戦後皇室のあり方を変える大転換なのだ。なにが、どう大転換なのか――。

 猪瀬直樹都知事は「皇室がブエノスアイレスで存在感を示してくれることは重要」と期待を示す。

 東京都の招致委員会は16年夏季五輪の招致活動でも、「切り札」として皇室の協力を求めていた。

 前回とくにターゲットとなったのが、国際的に知名度が高い皇太子ご夫妻だ。皇太子さまが08年に東京都の下水道施設を見学した際には、目に付くところに「五輪招致」の幟(のぼり)をずらりと並べる涙ぐましい努力もあったが、最終的に要請した石原慎太郎都知事(当時)自身が、お得意の「暴言」でぶちこわした。

「東宮大夫が前例にのっとり慎重な姿勢を示したところ、『木っ端役人が、こんな大事な問題、宮内庁の見解で決めるもんじゃない』と発言。この結果、皇太子ご夫妻はもちろん、一番可能性が高かった高円宮妃の担ぎ出しさえ失敗しました」(元宮内庁記者)

 都議会民主党は「皇室を政治利用し、五輪に関する一切の議論を封殺するがごとき危険な側面をもつ」と皇太子さまへの協力要請中止を求める「申入書」まで都知事に提出した。

 天皇に関する著作も多い猪瀬都知事がリーダーシップをとった今回は、水面下で慎重に交渉が進められた。今年3月のIOC評価委員会の東京視察を前にした記者会見で猪瀬都知事は、「前回は皇室がまったく現れなかった。今回はその轍を踏まないようにしたい」と述べ、皇太子さまが20分間、調査団と面会すること、安倍首相主催の公式晩餐会に久子さまが出席することを発表した。

「皇太子さまが会うのは『儀礼上の表敬訪問で、国際親善』との名目。晩餐会も当初は『IOC評価委員会歓迎夕食会』とする予定でしたが、宮内庁の意向で『公式歓迎・東京五輪開催50年記念夕食会』になりました」(宮内庁関係者)

 言葉いじりにたけた官僚がひねり出した奇策だが、「五輪招致のように他国の都市と競うことには皇室は慎重であるべき」(宮内庁・山本信一郎次長の会見発言)とのスタンスをとってきた皇室が、大きく一歩踏み込んだことは間違いない。

週刊朝日 2013年9月13日号


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