増田さんの「小ネタ」が注目され始めたのは、2011年の横浜国際女子マラソンの中継中、「木崎さんには高校時代からの恋人がいる」と発言してから。今年2月の東京マラソンの中継でも、尾崎好美の恋人の存在を暴露した。

 モスクワで語り尽くせなかった「小ネタ」もあるはず、と増田さんを直撃すると、やっぱり出ました! まずは、女子マラソンで銅メダルに輝いた福士加代子の話から。

「彼女には2人のお兄さんがいるんですが、そのうち一人のお兄さんの結婚記念パーティーをしたいといって、ご両親とお兄さんご夫婦をモスクワに自腹で招待していました。相当調子がよくて、自信を持っていた証拠だったと思います」

 また、木崎は帰国後、昨年末に結婚していたことを告白したが、増田さんは、「今年1月の時点で監督から聞いていました」。

 恐れ入りました。だが、こんな意見もあるようだ。「陸連幹部だけでなく、一般の方からも、『競技に関係ない話をするな』『うっとうしい』などといったおしかりの声を、結構いただいています」(増田さん)。

 それでも「増田節」を貫くのは、選手時代のある思いからだという。「技術的なこと以外はほとんど言ってもらえなくて、さみしかったんです。みなさん、選手である前に人です。技術面だけでなく人間的な魅力も伝えられれば、視聴者の選手に対する思い入れが全然違ってくると思います」。

「小ネタ」には、選手たちへの深い深い愛情が込められていたのである。

週刊朝日 2013年9月6日号