原発事故の教訓活かせず 30年手つかずの「修理ロボット」開発 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)
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原発事故の教訓活かせず 30年手つかずの「修理ロボット」開発

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 安倍晋三首相自らのトップセールスにより原発輸出が進んでいる。生物学者である池田清彦・早稲田大学教授は原発事故に備えて修理ロボットも同時に開発すべきだと訴える。

*  *  *
『知の逆転』(NHK出版)という米国在住の6人の学者へのインタビュー本が売れている。先日、この本の編者でインタビュアーでもある吉成真由美と、インタビューの映像を見ながら簡単な解説をするテレビ番組の収録を行った。NHKのEテレで7月12日と19日の23時から、それぞれ1時間程度放映されるということだ。私の一番面白い発言は過激ということで恐らくカットされると思うが、興味ある人は見て下さい。

 この本の内容で私が最も興味深かったのは、人工知能研究の草分けであるマービン・ミンスキーが、福島第一原発事故に言及して、「なぜ、故障した原子力発電所に、リモコン操作できるロボットを送り込んで、修復作業をすることができなかったのか。これまで過去30年(ロボット工学分野で)いったい何が起こってきたのか、全く私には理解しがたい」と述べていたことだ。

 ミンスキーはスリーマイル島の原発事故が起きた次の年の1980年に、リモコン操作ができるロボットを送り込めば、生身の人が中に入れない原発事故の際にも処理が比較的容易に行えるとのエッセイを書いたという。

 それから30年の歳月が流れたが、ロボット工学はチェスでチャンピオンを負かすとか、可愛らしい犬ロボットを作るとかいった方向にのみ流れて、ドアを開けるとか、枕を枕カバーに入れるとかいったことができる方向には進まなかった。ましてや何かを修理することは全くできない。30年も前から人間の子どもができるようなことをできるロボットを作るべきだと主張してきたのに、そういう方向の研究はないがしろにされてきた、とミンスキーは怒っているわけだ。

 確かに今からでも、ミンスキーが言うようなロボットを作れば、原発事故が起きた際の被害の程度を抑えることは可能だろう。但し大地震の際には、足場は悪いわ、水は漏れるわで、よほど動きの柔軟なロボットを作らなければ役に立たないかもしれないけれどね。

 安倍政権は原発輸出を推進したいらしいが、輸出先の国で福島級の事故が起きて、全額、損害賠償するはめになったら、日本は破産する。先日も、米で原発二基が廃炉と決まり、その直接原因とされる不良部品を製造した三菱重工に損害賠償を請求するとの報道があった。せめて、原発輸出は修理ロボットを開発してからの方がいいと思う。

週刊朝日  2013年7月5日号


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