今年2月、TDK製の加湿器が火元とされる長崎市の火災事故では5人の犠牲者が出た。だが、そのほかにも製品自体の欠陥や経年劣化、修理業者による不正改造などが原因で重傷事故や火災が続発している。

 独立行政法人製品評価技術基盤機構の調べによると、10年度の消費生活製品の事故件数4280件(重複を省いた件数)。そのうち、2011年3月31日までに調査が終了し、事故原因が確定したものや、経済産業省と消費者庁が重大製品事故として公表した件数は1447件だった。

 事故原因で最も多いのは、原因の約6割を占める「設計上、製造上または表示などの問題」だ。

「使い方ではなく、製品自体に問題があったケースで、説明書に不適当な使用方法が記載されていたり、設計上の問題でショートを起こして火災につながる事故などが含まれます」(経産省製品安全課)

 使い方にかかわらず事故が起こる……なんとも恐ろしいデータだが、こうした製品を購入前に見極める方法はないのだろうか。

「製造国の確認は大切です。『重大事故を起こしたリコール製品』には中国で製造された製品も少なくない。購入時にわからなければ、業者に問い合わせる。面倒なようだが、ひと手間で事故を防ぐ可能性が高まります」

 こう話すのは『知っておくべき家電製品事故50選』の著者で東京大学大学院工学系研究科の中尾政之教授だ。

 電子レンジやエアコンなど、事故が発生する確率の高い製品を購入する際には、とくに注意するようにしよう。

「もったいない」を言い訳に長期間、同じ製品を使い続けるのも危険だという。

「製造者はだいたい10年の使用を想定して製造しています。問題なく使えている場合でも、購入後10年を経過した製品は買い替えるようにしましょう」(中尾教授)

週刊朝日 2013年5月24日号