WBCで日本代表が3連覇を逃し、何となく暗い雰囲気で開幕したプロ野球。そんな中、目の覚めるようなリーグ改編案を提示したのは、やっぱりこの男だった。前中日ドラゴンズ監督の落合博満氏(59)。「オレ流」3リーグ案を通じて、落合氏が訴えたかったものとは――。

 4月8日、都内で開かれた「日本スポーツ学会大賞」の受賞記念講演会。落合氏は「オレ流野球人生」のタイトルで語りだした。内容は約500人の聴衆にとって、思ってもみなかったアイデアだった。落合氏がホワイトボードを持ち出し、数字や記号を書きつけながら話し始めると、聴衆は静まりかえった。

「落合秘案」を紹介する前に、まずは前提となる日本球界の現状から説明しよう。12球団の代表らが集まる実行委員会で、交流戦を現行の24試合から18試合へ減らす案が継続審議されている。これはセ・リーグ側からの提案だ。スポーツ紙デスクが解説する。

「交流戦が終わって1カ月もすれば、オールスター戦がある。交流戦でセ・パの対決に新鮮味がなくなり、オールスターのファン投票数が右肩下がりなんです。そこで交流戦の数を減らそう、と。現状の24試合では別リーグの6球団と4試合ずつ(ホーム2、ビジター2)戦います。セ案の18試合になると、6球団と3試合ずつ。ホームとビジターを1年ごと交互に実施するというものです」

 交流戦の優勝チームを決める以上、ホームだけ、ビジターだけの対戦では、公平な条件での戦いとはいえない。その「不公平」がひっかかり、落合氏は頭をひねった。ホワイトボードを指さしながら話す落合氏の次のような発言に、会場はどよめいた。

「セ・リーグとパ・リーグってものを、なくしてやろうという発想なんです」

 落合案では12球団を予備抽選、本抽選によって三つのリーグに振り分ける。そして12球団総当たりで12回戦を戦う。これでレギュラーシーズンは132試合になる。13回戦にすれば現状より1試合だけ少ない143試合だ。

週刊朝日 2013年4月26日号