独「ソーラー経済圏」では家そのものを発電機に 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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独「ソーラー経済圏」では家そのものを発電機に

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 ソーラーパネル、コージェネレーション(熱電併給)、自動車規制とトラム(路面電車)――原発に依存しない代替エネルギーが国民の日常生活に溶け込むドイツ。ジャーナリストの邨野継雄氏は、エコロジーと経済の共存を図る「フライブルク・ソーラー経済圏」を名乗っている、ドイツの古都フライブルク市をレポートした。

*  *  *
 市内にあるヴォーバン団地は住民自治を基本とし、そのためにヴォーバン・フォーラムというボランティア組織が住民間の調整役を担っている。その一人であるアンドレアス・デレスケが団地の概要の説明に立ってくれた。

 デレスケは、立ち並ぶ集合住宅に設置された太陽光パネルを見上げながら言った。

「『太陽の光をいただきましょう』というのが、我々の基本的な考え方なんだ。ソーラーパネルからの電力とコージェネレーターでつくる熱電で、我々の使用するエネルギーを自給するようにしている。90平方メートルの住居で暮らす普通の3人家族のガス料金は年2千ユーロ(約20万円)ほどだが、この団地に住む我々は昨年(2011年)、平均で90ユーロ(約9千円)しか払っていない。エコ意識は節約にもつながっているわけさ」

 すでに太陽は沈み、外気はマイナス10度になろうという戸外で、完全防寒衣のデレスケは「暖房器具なしで室温は20度を保っているはず」と、温かそうな明かりがともる団地を指さした。

 デレスケは続けた。

「南向きの窓、3層の断熱ガラス、バルコニーは太陽光を遮らないように設置し、断熱材は35センチのミネラルウール…」

 デレスケは団地が備える特色を指折り数え上げた。

 幹線道路を挟んでヴォーバン団地の東側、シュリアベルクという町には、プラスエネルギー団地が広がっている。これまたフランス軍のサッカー場の跡地で、50軒のテラス式集合住宅が建てられた。断熱や気密性はヴォーバン団地と基本的に変わらないのだが、この団地では屋根自体が発電パネルになっている。大げさにいえば、家そのものが発電機なのだ。もちろん、余剰電力は電力会社に売電している。

 フライブルクでは、団地に限らず、新規に開拓される工場や建築物には、すべて新しいエコロジー技術が導入される。ソーラー経済圏は、さらに拡大の方向にあるのだ。

週刊朝日 2012年10月26日号


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