4年に一度のスポーツの祭典が終わっても、まだまだ熱い甲子園。さらに、「規格外」のゴールデンボーイ登場で熱気が増している。

 2試合で奪三振41。桐光学園(神奈川)の2年生左腕・松井裕樹(ゆうき)は、8月9日の今治西戦で22三振を奪い、大会記録を一気に三つ更新した。10連続奪三振の新記録も達成した。三振以外のアウトはたった五つしかなかった。魅力は140キロ半ばの伸びのある直球、さらに対戦打者に、「最後まで直球との見極めができなかった」と言わせるスライダーだ。

 甲子園2試合目となる8月16日の常総学院戦でも毎回の19奪三振を記録。「甲子園では初めて投げた」というチェンジアップを試す度胸も見せた。この球も効果的だった。

 プロ球界も舌を巻いている。ある球団関係者は、「来年秋のドラフト1位指名が集中する逸材。ほとんどの球団が欲しいと思うはず。本当はいますぐ欲しい」

 もし新人契約金の最高標準額(1億円プラス出来高払い5千万円)がなければ、「2倍、3倍出しても欲しいという球団があっても驚かない」

 つまり、「お値投」は3億縲鰀4億円になるわけだ。そして話は日本にとどまらない。複数のメジャー球団も松井に目を光らせている。

「メジャーが出てくると、ケタが違ってくる」(別の球団関係者)

※週刊朝日 2012年8月31日号

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