選挙では負け知らずの「神様」、政局では敵をねじ伏せる「剛腕」――小沢一郎には常に"神話"がつきまとってきた。4度目となる新党結成に、与党の立場を捨てて従う議員は48人もいる。もはやこれは"信念"というより"信仰"だ。「小沢教」の教祖は救世主なのか、混乱に陥れるカルトのカリスマなのか。

 まずは「小沢教」の"信者"の弁を聞こう。

「小沢さんて、報道を通して知る姿と近くで見る素顔がまったく違う。いつも笑顔で、すぐに人を信じてしまう。だますよりだまされるのを選ぶような人です」

 そう話すのは新党「国民の生活が第一」に参加し、小沢ガールズの"センター"を務める岡本英子衆院議員(47)だ。

 新党で幹事長の要職に就いた東祥三元内閣府副大臣(61)は、新進党時代から行動をともにしてきた。小沢氏を、まさに"創造主"だと絶賛する。

「小沢さんはよくデストロイヤーと言われますが、小選挙区制度にしても、党首討論や副大臣制にしても、新しい仕組みを作った。破壊すると同時に新しいものを作っているんです」

 では、次に"脱会者"の声に耳を澄まそう。

 新進、自由両党で約6年間を小沢氏と過ごした小池百合子元防衛相(60)は、自身が「入信」した過去を振り返り、こう話す。

 小沢さんを取り巻く人が抱く感情の変遷には、3段階ある。第1段階は、小沢さんを恐れ多く思う。私も『日本を変えるのは、そんじょそこらの人にはできないが、小沢さんならできる』と思っていた。第2段階は『すごい』と『えっ?』の間を行ったり来たりする。第3段階は『enough(もう十分)』と言って去っていく。新党についていったのは第1、第2段階の人。参加しなかったのは第3段階の人でしょう」

※週刊朝日 2012年7月27日号