多くの神話にも登場するカラス。被害が増えるこれからの時期、まずはカラスの生態を知ることが大切!

2016/04/11 16:30

古くは「神さまの使者」と考えられ、世界じゅうの神話や伝説に登場するカラス。 時代が下るにつれ、「不吉や死、墓場の象徴」「魔女の使い」などのイメージでとらえられるようになりました。 現代では、カラスと聞くと「ゴミをあさって、散らかす」といったイメージを持つ方が多いかもしれません。 春から初夏にかけてのこれからの季節は、カラスの被害が増える時期。 効果的な対策のためにも、カラスの生態について知ってみませんか?

都会で生き抜く賢いカラスは、ある意味「日本の風物詩」にもなっていますね
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まずは、カラスがどんな鳥なのかを知ろう 「カラス」という名前の由来は、鳴き声を表現した「カラ」と、鳥を意味する古語である「ス」。 英語では「クロウ」、ドイツ語では「クレーエ」と、外国でも鳴き声を模した呼び名が多いようです。 カラスといえば「真っ黒」というイメージ。でも実は、白やグレーとの2トーンのカラスもいるのだそうですよ。 「カラス」とひと口に呼ぶことが多いですが、日本でよく見かけるのは、ハシブトガラスとハシボソガラスの2種類。その他、冬に渡ってくるミヤマガラス、北海道の一部に生息するワタリガラスなどが、日本で観察できるカラスです。 英語名「ジャングル・クロウ」の名のとおり、もともとは森林に住む鳥なのが「ハシブトガラス」。 カアカア大きな声で鳴くのは、もともと山間部に住む鳥だからなのですね。 農地や河川敷などでよく見かけるのが、ハシブトガラスよりひとまわり小さい「ハシボソガラス」です。 日本では江戸時代から、町中にカラスが多かったそう。1960~70年代からは、都市部に暮らすカラスが増え問題視されていますが、実は世界的にこれは珍しい現象ともいわれています。
多くの神話に登場する、偉大な「ワタリガラス」
多くの神話に登場する、偉大な「ワタリガラス」
たくさんの神話や伝説に登場する、「聖なる鳥」 世界最大のカラスである、ワタリガラス(英語名はレイヴン)。 アメリカ先住民族の多くが、このワタリガラスを創世神話の主人公と考えています。 「二枚貝に閉じ込められていた世界をこじ開けた」「分裂し争っていた部族をまとめた」など、さまざまな伝説が残っています。 北欧神話の最高神オーディンは、両肩にフギン(知恵)ムニン(記憶)という二羽のワタリガラスを載せていることで知られます。 また、英国王室もワタリガラスと深い関わりがあり、ロンドン塔にはワタリガラスが飼われています。 古代エジプトでは、カラスは「太陽の鳥」だと考えられていました。 日本の神話に登場する「ヤタガラス」(サッカー日本代表のシンボルでもおなじみですね)は、「三本足のカラスが太陽の黒点に住んでいる」という古代中国の伝説に由来しています。 フルーツ大好き、ジャンクフード大好き! よく考えると、野生の鳥であるカラスが都市で繁殖しているのは不思議ですよね。 実は、都市という「人間が作った環境」が、カラスの生態にマッチしているそうなのです。 雑食、あるいはスカベンジャー(掃除屋)と言われる生態を持つカラス。 人間の食べ残しが大量のゴミとして出る都市は、そんなカラスがエサを探すのに都合がいい環境なのです。 そんなカラスの好物は「果物」「甘いもの」「油っこいもの」。 ゴミ袋を透かして「赤いもの」や「オレンジ色のもの」が見えたりすると、果物だと思ってつついたりします。 おいしそうなエサ(人間のゴミ)が放置されていたら、カラスがそれをあさるのは無理もないこと。 「エサ場としての魅力を減らす」ことが、カラス対策のポイントだそうです。 (例)「ゴミを出す場所や時間を徹底管理する」「囲いやボックスを利用する」「赤やオレンジ色のものが見えないよう袋をまとめる」……。
ゴミはカラスにとってのエサ場
ゴミはカラスにとってのエサ場
みんなで情報交換? 実は心配性で子煩悩? カラスの集団を見かけて「気味が悪いな」と思ったことはありませんか? 実は、あれは巣立って間もない、若いカラスが群れを作っているそうです。 やがて成鳥となったカラスはパートナーを見つけ、繁殖するようになります。 仲の良いカップルが多く、“お別れ”が少ないのが特徴だそうですよ。 カップルになってからも、夜はねぐら(神社や公園など)に集まってみんなで過ごす……、そんなカラスも多いようです。外敵を防ぐのが目的とも、エサ場の情報交換をしているとも言われます。 「カラスが襲ってきた(つつかれた)」という話を最近耳にしますが、カラスが敵対的な行動をとるのは「ヒナを守る」時だけなのだとか。つまり、人間が、カラスの巣の近くを通ってしまっているということ。 とくに巣立ちの季節には、うまく飛べないヒナを心配するあまり、親鳥が威嚇するケースが多いそう。 「カアカア連続して鳴く」「低いところまで来る」……こんな行動が「前兆」。 それでも人間が気づかないと「攻撃」してきます。 こうした習性を知っておけば、「近くに巣があるな」「ヒナがいるのかな」などと察知し、被害を防ぐことができます。 ちなみに、カラスにつつかれた怪我そのものより、「驚いて転倒した場合の怪我のほうが大きなものになりやすいのでご注意を。 また、カラスには縄張りがあるので、「どこまでも追ってくる」ということもないそうですよ。 よい意味でも悪い意味でも、人間の暮らしに身近なカラス。 「カラスは賢い、怖い」などと言われますが、実は気が小さく、怖がりな鳥だそう。ゴミをあさる、ベランダの物を持ち去る……などなど、カラスによる被害にお悩みの方は、彼らの生態を学ぶことで、対策のアイディアが浮かぶかもしれません! 参考:松本始「カラスの教科書」(雷鳥社) 星野道夫「森と氷河と鯨 ワタリガラスの伝説を求めて」(世界文化社)
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