ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 総務省が7月に発表した人口動態調査によると、日本の総人口は前年に比べて43万人も減った。外国人は17万人増えて、約267万人となった。日本の多文化社会化はますます進むだろう。 ベストセラー解読 週刊朝日 7/26
つみびと 陰惨な事件、たとえば親による子どもの虐待死などが発生する度に、マスメディアには因果応報や勧善懲悪のコメントが頻出する。世間はそれらに同調し、幼くして逝った子どもの不憫さを嘆きつつ、犯人を徹底的に糾弾。そして、その事件の真の原因は、「闇」として放り出される。 ベストセラー解読 週刊朝日 7/18
歴史戦と思想戦─歴史問題の読み解き方 かつては書店ウォッチャーを自認していたぼくだが、最近はあまり書店に行かなくなった。嫌韓反中を煽るヘイト本や、「従軍慰安婦はいなかった」とか「南京虐殺はなかった」などと主張する歴史修正主義本が視界に入るのが不愉快だからである。 ベストセラー解読 週刊朝日 7/12
アタラクシア 政府は「生涯未婚率」という表現をやめて「50歳時未婚率」にするそうだ。50歳を超えても結婚しないとは限らないのだから当然か。ちなみに2015年の50歳時未婚率は、男性23.37%、女性14.06%。政府が未婚率を気にするのは、それが少子化と関係していると考えているからだが、はたして現代日本は結婚や子育てをしたくなる社会だろうか。 ベストセラー解読 週刊朝日 6/28
この道 古井由吉の小説の魅力は、まず、その語りにある。厳選された日本語が精緻に、滑らかにつらなり、句読点が刻むテンポに身をゆだねるように読み進めていくと、現実と思索がからんだ果てに現れる光景を目撃しているのだ。 ベストセラー解読 週刊朝日 6/21
むかしむかしあるところに、死体がありました。 流れてきた大きな桃に、おばあさんが包丁を入れると、中の桃太郎は熟れすぎて腐っていました。あるいは、おばあさんの力が入りすぎて、桃太郎まで真っ二つに切断してしまいました。ぼくが若い頃に流行った昔話ジョークである。バリエーションとして竹取物語編もあった。 ベストセラー解読 週刊朝日 6/14
運命論を哲学する 不幸な目に遭うと、人はあれこれ考える。これも運命なのだと受けいれたり、たまたまの偶然にすぎないと気持ちを切り替えたり。これまでの行いの結果だと反省する人もいれば、誰かのせいだと怒る人もいる。 ベストセラー解読読書 週刊朝日 5/31
社会学史 社会学が日本で注目されたのはいつ頃からか、誰の理論がきっかけだったか、門外漢の私はよく知らない。そんなことは知らなくても、自分が直面している現実について理解を深めようと読んだ本の著者が社会学者だった、という経験は何度もしてきた。 ベストセラー解読 週刊朝日 5/24
YMOのONGAKU YMOがデビューした1978年、ぼくは20歳だった。一生でいちばん美しい年齢だったなんて、思ってもいないけど。でも、あのころ経験した音楽や映画や本が、その後のぼくに大きな影響を与えたのは確かだ。藤井丈司『YMOのONGAKU』の読者には、同じような思いの人びとが少なからずいると思う。 ベストセラー解読 週刊朝日 5/15
そして、バトンは渡された 今年の本屋大賞を受賞した瀬尾まいこの『そして、バトンは渡された』の主人公は、森宮優子。どこにでもいそうな17歳の女子高生なのだが、彼女には父親が3人、母親が2人いる。これまでに苗字は3回、家族の形態は7回も変わってきた。 どうしてそんなことになったのか? ベストセラー解読 週刊朝日 5/9
父が娘に語る経済の話。 厚生労働省発表の所得分布グラフは、まるで恐竜を横から見たようだ。グラフの左側に恐竜の頭と胴がある。平均年収560万2千円を下回る、100万円から400万円未満の世帯だ。尾は細く長い。生活が「大変苦しい」「やや苦しい」と答える世帯は全体の56・5%と、半数を超えている(2016年)。こんなに科学が進歩したのに、ぼくらは格差と貧乏を克服できない。なぜだ? ベストセラー解読 週刊朝日 4/24
大谷翔平 その先へ 米プロスポーツ史上最高額での契約でロサンゼルス・ドジャースへ入団。米野球界初となるホームラン50本、50盗塁の「50-50」達成。そしてワールドシリーズ優勝。今季まさに頂点を極めた大谷翔平が次に見据えるものは――。AERAとAERAdot.はAERA増刊「大谷翔平2024完全版 ワールドシリーズ頂点への道」[特別報道記録集](11月7日発売)やAERA 2024年11月18日号(11月11日発売)で大谷翔平を特集しています。 大谷翔平2024
アメリカ大統領選挙2024 共和党のトランプ前大統領(78)と民主党のハリス副大統領(60)が激突した米大統領選。現地時間11月5日に投開票が行われ、トランプ氏が勝利宣言した。2024年夏の「確トラ」ムードからハリス氏の登場など、これまでの大統領選の動きを振り返り、今後アメリカはどこへゆくのか、日本、世界はどうなっていくのかを特集します。 米大統領選2024
本にひたる 暑かった夏が過ぎ、ようやく涼しくなってきました。木々が色づき深まる秋。本を手にしたくなる季節の到来です。AERA11月11日号は、読書好きの著名人がおすすめする「この秋読みたい本」を一挙に紹介するほか、ノーベル文学賞を受賞した韓国のハン・ガンさんら「海を渡る女性作家たち」を追った記事、本のタイトルをめぐる物語まで“読書の秋#にぴったりな企画が盛りだくさんな1冊です。 自分を創る本
平場の月 東京に近い埼玉県南部で生まれ育った青砥健将は、中学時代、同学年の須藤葉子に告白してふられた。卒業後の接点はなく、それぞれ進学、就職、結婚、離婚、転職を経験して50歳になり、地元の病院内の売店で再会する。 ベストセラー解読 週刊朝日 4/19
天然知能 世の中なんでもデータ化されすぎじゃないか。政府が検討をすすめる巨大IT企業への規制について、反対する声が意外と少ないのは、そうした漠然とした不安と反発があるからではないか。データ化とグローバル化の果てにあるのが、均質で薄っぺらな世界だとしたらつまらない。 ベストセラー解読 週刊朝日 4/12
ペンギン・ブックスが選んだ日本の名短篇29 外国人観光客が急増し、昔から「日本を代表する」と称されてきた名所とは違う、意外な場所が注目されるようになってきた。そんな情報にふれると、異なる視座から見た未知の(あるいは忘れてしまった)日本の美点を教えてもらったような気がして、つい嬉しくなる。ジェイ・ルービンが編纂した『ペンギン・ブックスが選んだ日本の名短篇29』を読みおえた時にも、私はよく似た思いにつつまれた。 ベストセラー解読 週刊朝日 4/5
仏教抹殺 かつてタリバーンがバーミヤンの大仏を破壊したとき、なんてひどいことをするのだと腹が立った。だが、よく考えてみると、ほんの150年前の日本人も似たようなことをした。廃仏毀釈である。鵜飼秀徳『仏教抹殺』は、明治維新のときに起きたこの異常な事態についての本。 ベストセラー解読 週刊朝日 3/27
夫の墓には入りません 配偶者が死んだあと、その親や兄弟姉妹との関係はどうなるのか。たとえば夫が死んでからも、舅姑の介護や経済的支援をしなければならないのか。悩んでいる人や困っている人は意外と多い。垣谷美雨『夫の墓には入りません』は、いわばそのシミュレーション小説である。 ベストセラー解読 週刊朝日 2/27