第10回 創造力、表現力、共創力が未来を拓く『小学生からはじめる わくわくプログラミング』
親子で楽しみながら考える力、つくる力、伝える力を育む『小学生からはじめる わくわくプログラミング』が日経BP社から出版された。この本は小学生を対象に、プログラミング学習を通じ、仕組みを考え、ものをつくり上げる楽しさを体験する学習書になっている。 取り上げているのは、子ども向けのビジュアル・プログラミング環境であり、プログラミング言語でもある「Scratch(スクラッチ)」だ。これは、MIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボのミッチェル・レズニックさんのチームが開発したものである。いまや世界の人々が使っているといっても過言ではなく、多彩なプロジェクトを創造し、共有されているのだ。この「Scratch」を使えば、アニメーションやゲーム、音楽を作曲・演奏するためなどのソフトを自分で開発することができる。操作画面は分かりやすく、キーボードを使うのではなくマウスで操作するため、8歳(小学校3年生)くらいから楽しめる。 この本では、まず「Scratch」の基本的な操作とプログラムの考え方を学ぶため、国語(物語メーカー)、算数(フィズバズ)、理科(アリシミュレーター)、社会(なんでもクイズ)、音楽(かえるのうた)、体育(100メートルハードル)の6教科に関連した例を紹介する。太陽のように明るい男の子「ニャタロー」や頭が国語辞典になっているクールな若者「サーチマン」、身体が図形でできている「マスラー」などのキャラクターとともに、豊富なイラストレーションと平易な言葉で解説されている。 「コンピューターやプログラミングというと、難しい印象を持つと思います。今の子どもたちは、デジタル・ネーティブといわれるように、生まれたときからデジタル機器に親しみ、自然に使えるのです。しかし、それだけではいけません。プログラミングを通して、自ら作品をつくり出す表現力が必要です」という著者の阿部和広さんに話を聞いた。
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