古くから伝わる東洋医学のひとつ「鍼灸」。全身のツボを鍼や灸で刺激することで、治療や健康増進に役立てるというもので、最近ではその効果も科学的に認められているという。

 鍼灸は体に鍼を打つという、ある程度、侵襲がある治療なため、心配な人もいるだろう。それだけに、鍼灸院選びは大切だ。いい鍼灸院の見分け方はあるのだろうか。取材をした人たちから聞いた鍼灸院選びのポイントをまとめた。

(1)団体(日本鍼灸師会、全日本鍼灸マッサージ師会、NPO全国鍼灸マッサージ協会や協同組合、全日本鍼灸学会など)に所属している

 一番いいのは信頼できる人からの口コミだが、ほかに選択の指標がない状態で鍼灸院を選ぶとしたら、やはり団体に所属している鍼灸院のほうが安心だ。

(2)同じ場所で3年以上、開院している
 鍼灸院は「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律」で、広告が制限されている。「○○に効く」「○○を治す」といった宣伝文句や病名は原則、掲げられない。そうしたなかで何年も同じ地域で開業できている鍼灸院は、実力がある証拠とみていい。その見極めの期間はおおよそ3年だという。

(3)衛生管理がしっかりなされている
 鍼を体に刺す行為だけに感染の危険性もある。鍼は使い捨てのディスポ鍼か滅菌消毒された患者個別の鍼を使用しているか、鍼灸師は施術前に手を消毒しているかなどは重要なチェック項目だ。またシーツ、タオル、枕が汚れていないかどうかなど院内の清潔さも確認しておきたい。

(4)電話など受付の対応が親切・ていねい
 鍼灸は受ける人の健康を改善するためのサービス業としての側面もある。電話の応対、説明などに疑問や不満を覚えたら、やめたほうがよいだろう。

(5)鍼灸師の体調管理がしっかりできている
 鍼灸師は自分の指の感覚を頼りにツボを見つけ、鍼を打ったり、灸を据えたりする。当然ながら、風邪や睡眠不足などで体調が悪いと、ツボを探り当てる感覚が鈍り、治療効果が落ちる。施術に責任を持っている鍼灸師は、やはり自己管理がしっかりしている。

週刊朝日 2013年5月3・10日号