大きなオニギリを手にしたこの人、何の仕事だろう? 顔つきは理系の学者風だが、服は作業着。写真から推測するも、巻末インデックスを見て、へぇー。

 著者は『おべんとうの時間』シリーズのカメラマンで、大判の写真集ならではの面白みがある。お弁当箱のふたを左手に持ち、右手の薬指を口に当てて、中のおかずを見る幼稚園児。あぐらをかき、体を「く」の字にして食べる茅葺き職人。働く仲間と一緒にお弁当を広げる人や黙々と箸を動かす人たちの写真が100枚近く並ぶ。

 そこまで近づきますかというアップもあれば、お弁当を食べる審判員の後方にバットを振る選手たちが見える写真もある。梅干しを幸せそうにしゃぶる農業の青年。斜め前を凛々しい顔で見つめる女の子。至福の時間のおすそわけだ。

週刊朝日  2018年11月2日号