書評『自殺』末井昭著 |AERA dot. (アエラドット)

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《話題の新刊 (週刊朝日)》

自殺 末井昭著

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吉川明子#話題の新刊

自殺

末井昭著

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 2013年の自殺者は2万7195人(警察庁調べ)。2年連続で3万人を下回ったところで、東日本大震災の犠牲者より多くの人が自ら死を選んでいることに変わりはない。
 著者は「写真時代」「パチンコ必勝ガイド」など話題の雑誌を創刊した編集者。前半では半生が綴られる。幼少期に母が若い男とダイナマイト心中し、心に暗い影を落とす。やがて、逆にそのことが、表現者として選ばれたことだと思えるようになり、考え方が一変。
 しかし、その後に続く、不倫や離婚、ギャンブル狂い、約3億円にまで膨れた借金、うつ病やがん発覚などといった修羅場も飄々と綴る。
 自殺未遂者や、青木ケ原樹海を巡回して遺体を発見する男性などのインタビューも盛り込まれ、目を背けがちな「自殺」に対峙することになる。それが苦痛ではないのは、どこまでも優しい著者の眼差しによるものだ。自殺を考えるのは、真面目で優しい人だと言う。「笑える自殺の本にしたい」という著者の思いは、「生きてて良かったということはいっぱいあるんだから」という、誰よりも説得力のある一言に凝縮されている。

週刊朝日 2014年2月21日号


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