NY市内では誰でも気軽にワクチンを受けられるように、車両型のワクチン接種所も見られる(撮影・新垣謙太郎)
NY市内では誰でも気軽にワクチンを受けられるように、車両型のワクチン接種所も見られる(撮影・新垣謙太郎)

 受付ではパスポートを見せて、名前とアメリカにおける住所を登録するだけで、事前予約なしにその場でワクチンを接種することができたという。接種後は経過観察をするために、15分間会場に設置された椅子で待機しなければならないが、それが終わるとワクチン証明書と一緒に、地下鉄やバスの7日間乗り放題の乗車券が無料で配られた。

「こんなに早く簡単に(ワクチン接種が)済むなんて、驚きました」

 そう語るパクさんは、1週間ほど友人たちと一緒にニューヨークに滞在し、観光を楽しんでいく予定だと話した。

 この会場はNY州が期間限定で設置したもので、ワクチン接種はすべて無料。NY州の住民以外でも18歳以上ならば、他の州や海外から来た誰でも受けられるようになっている。さらに、使用しているワクチンは1回の接種で済むジョンソン・エンド・ジョンソン製のものなので、海外からの旅行者でもワクチンを接種するために長期滞在する必要はない。

 アルゼンチンから訪れた姉妹は空港から会場まで直行し、航空会社の荷物タグを付けたままのスーツケースを持って、ワクチン接種に挑んでいた。

空港からワクチン会場まで直行したアルゼンチンからの姉妹。右が姉のマリアナさんと妹のメルセデスさん(撮影・新垣謙太郎)
空港からワクチン会場まで直行したアルゼンチンからの姉妹。右が姉のマリアナさんと妹のメルセデスさん(撮影・新垣謙太郎)

「1回の接種で済むワクチンを探していたから、この会場を選んで来ました」

 こう語る姉のマリアナ・ドナトさん(37)は妹のメルセデスさん(27)と一緒にニューヨークに10日間滞在し、街の散策や買い物を楽しむ予定だという。

 現在NY州では12歳以上の住民であればワクチン接種が可能であるが、米疾病対策センター(CDC)によると、これまでに約980万人(12歳以上の州人口の58.7%、6月15日時点)の州民がワクチンの接種を完了している。

 しかし、1週間で150万回以上のワクチン接種が行われた4月のピーク時に比べると、6月8日から14日までの7日間では約58万回となっていて、接種ペースがかなり低下している。

 さらに、アメリカの一部の州では入荷したワクチンが未使用のまま、期限切れなどの理由で廃棄されるケースも出てきているという報道もある。

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賞味期限切れのワクチン対策?