次の人事で最も注目されるのは、茂木敏充幹事長の処遇だ。

岸田首相と茂木幹事長は、しっくりきていない」

 というのは、よく聞かれる話ではある。

 茂木幹事長は、小選挙区の「10増10減」に伴う選挙区調整で、5区増える東京での公明党との調整、交渉に失敗した。

 公明党から、

「東京で自民党には推薦を出さない」「公明党への推薦を求めない」「都議会での自民党と公明党の協力関係を解消する」

 などと突き付けられた自民党側で交渉にあたっていたのは、茂木幹事長だった。

 自民党の政調担当を長く務めた政治評論家の田村重信氏はこう話す。

「岸田首相が次の内閣改造、党人事で念頭に置くのは解散・総選挙です。公明党とうまくやれない茂木幹事長は切るしかない。そうなると公明党との関係を修復できる幹事長が必要で、森山裕・選対本部長の名前があがっています。派閥重視なら茂木幹事長に替わり、同じ派閥の加藤勝信厚生労働相あたりでしょうか。新会長が決まらない安倍派からの起用は見送るのでは」

 森山氏の幹事長起用については、先の自民党・閣僚経験者も同様の見方を示す。

「幹事長には森山氏を、という呼び声も高い。森山氏は、岸田首相と距離を置く菅義偉前首相や二階俊博元幹事長とも良好な関係にあります。この2人は公明党ともずっとしっかりとした関係を築いてきました」

報道陣のインタビューに答える森山裕選挙対策委員長
報道陣のインタビューに答える森山裕選挙対策委員長

 そもそも岸田首相が解散を見送ったのは、公明党との関係修復に時間を費やしたい意向もあるようだ。

 ただ、茂木幹事長はすでに外相、幹事長と重要ポストを歴任しており、派閥の長でもある。実績からみて、釣り合うポストは財務相など極めて限定される。その点を踏まえると、

「岸田首相が茂木幹事長を閣内に取り込んだまま総裁選に出馬させないようにするなら財務相となるでしょう。ただ茂木幹事長が岸田首相の案に乗るかどうかは微妙。以前から小渕優子衆院議員を閣僚か党の重要ポストに、という話もあります。同じ派閥でも、茂木幹事長にとって小渕氏はライバルなので、総裁選を考えれば無役を選ぶ可能性も考えられます」(自民党の閣僚経験者)。

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