首位を走る阪神の岡田彰布監督
首位を走る阪神の岡田彰布監督

 まもなく開幕から2カ月が経過する今年のペナントレース。セ・リーグでは前評判の高かった阪神が5月に7連勝を記録するなど、頭一つリードした印象だ。

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 先発投手では昨年まで中心だった青柳晃洋、西勇輝の2人が不調だが、現役ドラフトで加入した大竹耕太郎と3年目の村上頌樹がその穴を見事に埋めている。リリーフも抑えの湯浅京己が故障で離脱しても岩崎優が代役を果たし、加治屋蓮、石井大智、及川雅貴など中継ぎ陣の躍進も目立つ。投手陣の層の厚さはセ・リーグでナンバーワンと言えるだろう。

 一方の野手もリードオフマンの近本光司、中野拓夢の2人が揃って高い出塁率を誇り、下位打線が作ったチャンスをしっかり生かす役割も果たしている。主砲の大山悠輔、新外国人のノイジーも開幕から安定した打撃を見せており、不振だった佐藤輝明が復調してきたことも大きなプラス要因だ。長年の懸案事項だった内野の守備も中野をセカンドに回して木浪聖也をショートに定着させたことで安定してきた。正捕手の梅野隆太郎が攻守ともに精彩を欠いているのは気がかりだが、2番手捕手の坂本誠志郎が存在感を示しており、大きな弱点とはなっていない。早い段階から優勝を意識する報道が出ると失速するというジンクスはあるものの、現状を見ればやはり優勝の可能性が最も高いチームと言えるだろう。

 気になるのはその阪神を追いかける球団だが、対抗馬として筆頭に挙がるのはDeNAになりそうだ。最大の強みは12球団でナンバーワンのチーム打率を誇る打線だ。牧秀悟、宮崎敏郎、佐野恵太の中軸が揃って安定した成績を残しているのに加え、関根大気が急成長してきたことが非常に大きい。出塁率が高く、足も使える関根が打線にいるのといないのでは相手バッテリーに与える嫌らしさは大きく異なっており、この調子を維持できれば他球団の脅威となることは間違いないだろう。また、この打線に現在は調子を落としているソトと怪我から復帰したオースティンが加わればさらに得点力がアップすることも期待できそうだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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阪神の“独走”を食い止められるのか?