49歳のときに米グーグルのNo.1デザイナーになった韓国出身の女性がいる。彼女の名は、キム・ウンジュさん。韓国で勤めていた会社を27歳で辞めて、渡米。簡単な英語のフレーズすらまともに話せない状態で始まったアメリカ生活だったが、その後はモトローラやクアルコムなどでキャリアを積んだあと、グーグルに入社。25年間で10回の転職経験をした彼女がグローバル企業で身につけたこととは――。著書『悩みの多い30歳へ。世界最高の人材たちと働きながら学んだ自分らしく成功する思考法』(CCCメディアハウス)から、ここでは「面接官の心をつかむテクニック」を紹介する。
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【1】面接をリードする
応募者の切実さや努力とは対照的に、面接官は採用活動に無関心である。非常に申し訳ないが、それが現実だ。言い訳をさせてもらえるなら、社員はトイレに行く暇もないほど会議のスケジュールが詰まっている日がほとんどだ。
1名を面接するには6~7人の社員が必要だが、応募者数が多く、対応できる面接官の数は限られているので、どうしてもスケジュールがタイトにならざるを得ない。事前に履歴書をしっかりチェックできないこともよくある。
ほとんどの応募者が自分のことを“質問を受ける立場”だと考えて、「聞かれたことに答えよう」という姿勢で面接に臨む。そのため、面接官が会話をリードするのを待ってしまう。
そうではなく、インタビューの進行役を務めるのは自分だと考えてみよう。「面接官は自分について何ひとつ知らず、履歴書を読んでもいないし、会話の内容について何の準備もしていない人だ」という前提で面接を受けるといい。
面接官は、実はあなたに興味がない。次の会議の案件、報告書、プロジェクトのデッドラインのことで頭がいっぱいだ。それが面接というゲームのルールであり、自分だけが不利なのではなく、どの応募者も同じ条件だ。だから、質問されるのを待つのではなく、自分から会話を引っ張っていくスキルが求められる。自分を評価する企業や面接官の立場に立ち、自分という人間をどんなふうに見せたいのかを考えて、会話を誘導しなくてはいけない。
【2】印象づけたいスキルをアピールする
面接官は、応募者についての意見書を提出することになっている。これはかなり時間をとられる作業だ。私が面接官を引き受けたくない主な理由でもある。そこで、逆転の発想をしてみよう。自分に関する所見を面接官の代わりにまとめて、自分の思いどおりに意見書を書いてもらえるように仕向けるのだ。あなたについて、いちばんよく知っているのはあなたなのだから。