四大陸選手権では9位に終わった“かなだい”
四大陸選手権では9位に終わった“かなだい”

 四大陸選手権(アメリカ・コロラドスプリングス)に、昨季の銀メダリストとして臨んだ村元哉中&高橋大輔。計3度の転倒が響き9位に終わったものの、高地での厳しい試合を戦い抜いた。

【写真】蜷川実花が撮った!“かなだい”ペアの華やかなショットはこちら

 リズムダンスでは速い曲調に乗って切れのある滑りをみせていた二人だが、最後から二つ目の要素であるミッドラインステップシークエンスで村元が転倒。アイスダンサーとして豊富な経験を持つ村元の、思いもよらないミスだった。演技終了直後に申し訳なさそうな表情をみせた村元を、高橋は肩を叩いて慰めている。

 リズムダンスでは他チームでも転倒が相次ぎ、記者会見で氷の状態についての質問が出るほどだった。試合が荒れた原因が、高地特有の空気の薄さと関係しているのかは分からない。ただすべての種目において滑り終えた選手の表情は一様に苦しそうで、通常の大会とは違う過酷さがあったことは事実だろう。

 村元は「やったことがないミスだったので、ちょっとまだ頭の中がポカーンとしている」と転倒を悔やみながらも、前を向こうとしていた。

「悔しいですけれども、自分なりに攻めた結果ではあるのかなとも感じているので。勉強になりました」

 リズムダンス7位で迎えるフリーダンスについて、二人は全日本選手権で転倒があったラストのリフトを変更したことを明かしている。「とにかく練習してきたので、自信を持って滑り切りたいなと思います」とコメントした村元は、こう付け加えている。

「絶対きついのは、もう覚悟しているので(笑)」

 しかしフリーダンスでは、さらに厳しい展開が待っていた。『オペラ座の怪人』を情感豊かに演じていたものの、最後から二つ目の要素であるダイアゴナルステップシークエンスで高橋が転倒。さらに最後のリフトでも転倒した高橋は、ステップでの転倒から「ちょっと戻し切れなかった」「盛り上げるまでに時間がなかった」と振り返っている。

 演技を終えて呆然とする高橋を、今度は村元が慰める。村元によれば、マリーナ・ズエワコーチも「大丈夫、大丈夫」と声をかけたという。

「前半はエモーショナルで、すごくよかったよ。仕方ない。滑り切れたし、きついことは最初から分かっていたでしょ」

次のページ
「今は笑っていますけど、笑えないほどショック」