■休憩しないと長く歩けない人は注意

 足やお尻の痛み、しびれなどによって日常生活に支障が出てきたら、受診しましょう。とくに注意したいのが、安静時には症状がないのに歩くとしびれや痛みなどで歩けなくなり、少し休息するとそれがおさまる間欠性跛行(かんけつせいはこう)。「以前は連続して歩けていたのに、最近は休憩しないと長く歩けない」という人は、ぜひ医師に相談してください。

 診察では、問診のほか、X線画像検査、下肢の感覚や筋力のチェックなどをおこないます。軟骨組織の椎間板はX線には写らないため、神経の異常が疑われる場合にはMRI(磁気共鳴断層撮影)検査をします。

 治療は多くの場合、保存療法から開始します。保存療法には、内服薬や湿布などの薬物療法、ストレッチや運動療法などのリハビリテーション治療、神経に直接注射する神経ブロックなどのブロック療法、コルセットやカラーで一時的に安定させる装具療法などがあります。

 一般的にこれらを3カ月ほど実施しても改善が見られない場合、手術を検討します。

 なお、外傷を契機に悪くなった場合や、重度の頸椎脊柱管狭窄症でまひや痛み、歩行障害などが進んだ場合などで即手術となることもあります。

■日常生活に支障があれば手術を考えるポイントに

 患者がもっとも悩むのは、手術に踏み切るかどうかでしょう。それを考える際のポイントは「仕事や睡眠などの日常生活に支障があるか。どれくらい困っているか」です。稲波脊椎・関節病院院長の高野裕一医師は次のように話します。

「今の状況でやりたいことができているかどうか、目標などをお聞きして、それを実行できるようにすることが治療の目的の一つです。保存療法をおこなってもまだ症状があり、やりたいことができていなければ、手術が選択肢に入ります」

 また、手足の常時のしびれ、排尿障害、便秘などの神経症状がある場合にも手術が検討されます。時間が経つと、手術をしても改善しにくくなるからです。

「とくに首の病気では、字を書くのが下手になった、ボタンを留めづらい、はしを使いづらいなど、手先が使いづらくなることがあります。また、患者さんが我慢し、工夫して生活することで病気が進んでしまうケースもあります」(高野医師)

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腰椎のおもな手術方法は二つ