まず、辞める理由には「楽しくないな」とか「嫌だな」とか「こわいな」とか「めんどくさいな」っていう気持ちがあると思うんだ。ただ、続けられたことでも、「つらいな」とか「嫌だな」って思ったことはある。

 たとえば、芸人になりたての売れていない時代は、仕事がないことがすごくストレスだった。将来も見えないし、お金も稼げないし、「これから俺はどうなるんだろう」っていう漠然とした不安を抱えていたんだ。先輩芸人からの無茶ぶりにも、苦手意識があった。うまく返せないことが多くて、たくさんへこんだよ。それが原因で、体じゅうにじんましんが出たこともある。仕事なんか全然ないのに、病院に行ったら「疲れとストレスですよ」ってお医者さんに言われて腰を抜かしたよ(苦笑)。

 だけど、芸人になることはよしおの夢だった。そして芸人になって、「面白くなりたい」「売れたい」「人気者になりたい」って強く思っていた。

 辞める理由と続ける理由をてんびんにかけたときに、続ける理由のほうがよしおにとっては重かったんだ。よしおは「無茶ぶりが嫌だ」って気持ちよりも、「面白くなりたい」「人気者になりたい」って気持ちのほうが強くて重かった。だから、仕事がない時期もなんとか耐えて続けることができたし、先輩からの無茶ぶりも「何を言われても必ず返す」って決めていたんだ。

 野球もそう。練習はきついし、監督は厳しい。だけど、よしおはプロ野球選手になりたかったし、野球を一緒にやっている仲間が大切だった。「野球がうまくなりたい」「こいつらと一緒に試合に出たい」っていう気持ちのほうが強かった、ってこと。

 筋トレも、筋肉に負荷をかけるからどうしたってつらい。サボりたくなることもたくさんある。でも、人から「いい筋肉だね!」って褒められるのがうれしいし、海パン一丁で人前に出るからいい体つきでいたいな、って思う気持ちのほうが勝ったんだ。

 そう考えると、「すぐに辞めてしまう、逃げてしまう」っていうのは「自分のしたいことを選んでいる最中」とも捉えられると思うんだ。まかろにちゃんが今まですぐに辞めてしまったという部活や習い事やバイトに、何か続ける理由はあったかな? もし思い当たらないようだったら、辞めて正解だった。しかもそのスピードが速いってことは、自分がしたいことや自分に合っていることに、より近づけているということだとも言えるんじゃないかな。

 もし、続ける理由のほうが重かったら、きっと辞めていなかったと思う。そこまで考えられていなかったとしたら、また今から始めてみるのでもいいんだ。これからは、何か始めて辞めたくなったら、辞める理由と続ける理由をてんびんにかけてみるのはどうだろう。

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