「詰め込み」「偏差値」というイメージが強い中学受験。「受験のための勉強は子どもの将来に役に立つの?」「難易度より、子どもを伸ばしてくれる学校を選びたい」といった悩みを抱えている親御さんも増えています。思い切って「偏差値」というものさしから一度離れて、中学受験を考えてみては――。こう提案するのは、探究学習の第一人者である矢萩邦彦さんと、「きょうこ先生」としておなじみのプロ家庭教師・安浪京子さんです。連載24回目の今回は、夏期講習についていけない息子さんを持つお母さんからの相談です。

MENU ■通っているだけで、頑張っている ■大手塾の宿題は「特盛りプレート」 ■「全部やる」ことを親が求めない ■「1泊旅行なんて言語道断」という塾も多いが…

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■通っているだけで、頑張っている

矢萩:どんな塾に通われているのかによりますが、いわゆる大手塾でしょうか? だとすると、カリキュラム通りにこなしていくのは相当大変だと思います。大半の生徒は4年生からそういうスピード感になれていますし、初めての夏期講習なら、学校の宿題との両立もあるだろうし、遊びたい盛りでしょうし、なおさらです。通っているだけで息子さん、頑張っていると思いますよ。

安浪:夏期講習の内容も塾によっていろいろです。5年夏前の復習の塾もあれば、どんどんカリキュラムが進む塾もある。なかには、カリキュラムの進む平常授業と、今までの復習をする夏期講習が同時並行で進む塾もあります。そもそも宿題の積み残し問題ってなんで生じるかというと、通常授業では週1回だった算数の授業が、夏期講習だと連日になるからで、どうしても未消化の宿題が出てきてしまうんですよね。

矢萩:特に5年生はどの教科も難易度が上がるだけでなく、ボリューム自体がぐんと増えますからね。

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安浪京子 矢萩邦彦
安浪京子 矢萩邦彦

安浪京子(やすなみ・きょうこ)/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験にチャレンジするきみへ 勉強とメンタルW必勝法』(大和書房)。

矢萩邦彦(やはぎ・くにひこ)/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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