■「全部やる」ことを親が求めない

矢萩:中学受験塾は全範囲を網羅しようとするので、「全部やる」ことを親が求めないことが大事ですね。できるところを少しずつ増やしていけばいいです。

安浪:優先順位づけを親がやるのが難しければ、塾の先生に聞くのがいいですね。「うちの子、全部やるのが無理そうなので、最低限やっておかなければならないところ教えてください」というように。

矢萩:あ、それはいいと思います。僕も大手の塾にいたときはよく聞かれました。そのときは、一人一人に「君はここやって」というようにテキストにマルを書いてあげていたので、他教科の先生たちにも同じような要求をするご家庭が出てきて、「仕事が増えるから、先生だけそういうことをするのはやめてほしい」とクレームが来たこともあります(笑)。

安浪:そうしたら、「このクラスとしては最低限どこをやるべきか、プリントして配ってもられませんか」と言ってみるのもいいかもしれない。そうしたら先生は手間が一つで済みますよね。だいたいの大手塾はクラスゾーンごとにテキストのここをメインにやる、というのは決まっているはずなので。そのくらいの要望は塾が対応してくれる、と思いたいところです。

矢萩:どこまで細かい答えが返ってくるかは、その塾や先生によりますね。大手塾ではテストの点数を元にしたクラス分けや、AIを活用した一見個別風なアドバイスなどはありますが、これはその生徒の性質・性格まで加味していないので、本当の意味での個別最適化にはなっていないんですよね。先生の裁量にかかっている。ただ、そういった親の要望があった時に、何も答えてくれないようなら塾としてどうかと思いますね。

安浪:どの塾でも夏明けには大きいテストがあります。そのテストで、どの分野でしっかり点数を取りたいかの目標を決めると、より取り組む内容が明確になります。5年生なら割合、6年生なら平面図形、というように。漫然とやるよりは、それを意識するだけで取り組み姿勢も変わります。

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