7月27日、会見を開いた五ノ井里奈さん(撮影/岩下明日香)
7月27日、会見を開いた五ノ井里奈さん(撮影/岩下明日香)

 7月27日、陸上自衛隊に所属していた女性隊員が、訓練中に受けた性被害について公正な調査を求め、東京都内で記者会見を開いた。実名・顔出しで会見に挑んだ五ノ井里奈さん(22)は、複数の上官から性暴力を受けたと告白。詳報は、14日にAERA dot.が配信した記事<<22歳元女性自衛官が実名・顔出しで自衛隊内での「性被害」を告発 テント内で男性隊員に囲まれて受けた屈辱的な行為とは>>に出ている。自衛隊内の捜査機関に強制わいせつ事件として被害届を提出したが、関係者は不起訴処分になった。現在は、検察審査会に審査を申し立て、結果を待っている。21日にはオンライン署名を立ち上げ、会見までに6万筆が集まった。会見で五ノ井さんは、「中隊内で隠ぺいや口裏合わせが行われていると、内部の隊員から聞いたので、ちゃんと第三者委員会を立ち上げ、公正な再調査をしてほしい」と、署名立ち上げにかける思いを語った。

【セクハラの最中に五ノ井さんが女性隊員に助けを求めたLINE】

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 五ノ井さんは、宮城県東松島市出身で、小学校4年生の時に東日本大震災に遭う。避難先の公民館で、災害支援に来た女性自衛官が活躍する姿を目にし、自衛官を志す。2020年4月、晴れて陸上自衛隊に入隊。だが、配属された福島県にある郡山駐屯地の某部隊で、日常的に性被害を受け、追い詰められていく。2021年8月から休職し、2022年6月末に退職。

 五ノ井さんが休職する直前に受けた性被害を、会見でこう語った。

「山に入る訓練中に、宴会の席で、上司2名が格闘の話をしていて、三曹の男性隊員に『五ノ井に首をキメて倒すのをやってみろ』と指示しました。三曹が両手を私の首に当てて、押し倒し、そこで三曹が暴走しはじめ、私の股を広げ、陰部を押し当ててきました。三曹はひとりであえいで、笑いを取っていました」

 その1人に限らず、続いて別の男性隊員2人も、同じように首をキメる技を五ノ井さんにかけて押し倒したという。そのうち3人目となる男性隊員は、首をキメた後に五ノ井さんの両手首を押さえつけ「何度も腰を振ってきた」と、五ノ井さんは証言した。

「この時、何人もの人が見ていたので、嫌すぎるのと、恥ずかしかったので、頑張って抵抗しましたが、相手の押さえつける力が強かったです。相手からは『五ノ井は案外力が強いんだね』と言われました」(五ノ井さん)

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「部屋の中には数十人いて、笑っている人もいれば…」