「詰め込み」「偏差値」というイメージが強い中学受験。「受験のための勉強は子どもの将来に役に立つの?」「難易度より、子どもを伸ばしてくれる学校を選びたい」といった悩みを抱えている親御さんも増えています。思い切って「偏差値」というものさしから一度離れて、中学受験を考えてみては――。こう提案するのは、探究学習の第一人者である矢萩邦彦さんと、「きょうこ先生」としておなじみのプロ家庭教師・安浪京子さんです。連載20回目の今回は、私立小に通いながらも中学受験を目指す小4男子のお母さんからの相談です。

MENU ■何のために私立小に行かせているのか ■小4男子なら勉強をサボる子はたくさんいる ■親子関係が悪くなるのが見え見え

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■何のために私立小に行かせているのか

安浪:まず、何のために私立小に行かせているのか、というところから考え直したほうがいいですね。外部進学をさせるためにその学校に入れたんですかね? 私は本人がその気がないなら内部進学でいいじゃない、と思いますが…。

矢萩:私立小といっても、ほとんどの子が内部進学する学校もあれば、逆にこのご家庭のように外部進学のほうが多い学校もありますからね。気になるのは、「90%以上が外部進学するから勉強をしっかりさせたい」とおっしゃっているところ。勉強の目的が「まわりがみんな受験するから」になってしまっています。

安浪:同様の相談は時々受けるのですが、「お母さん、内部進学でもいいじゃないですか」と水を向けると「女の子は内部進学の子もいるけど、男の子はほとんど外部に出る」など、なんだかんだ言い訳をおっしゃることは多いですね。相談と言いながら親御さん自身が「中学受験をさせたい」という意思が強いんです。たしかに外部に抜ける子が多い学校は、小学校と中学校で学校文化が変わることもあるので、外部受験を否定しているわけではなくて、受験はあくまで子ども次第だと思っています。

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安浪京子 矢萩邦彦
安浪京子 矢萩邦彦

安浪京子(やすなみ・きょうこ)/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験にチャレンジするきみへ 勉強とメンタルW必勝法』(大和書房)。

矢萩邦彦(やはぎ・くにひこ)/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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