矢萩:あともう一つ心配なのが、問題集の答えを見て写していることがある、というところ。きっと、「正解するのはよいことで、不正解は悪いこと」という価値観になってしまっているのだと思います。子どもとしても、答えを写しているのがバレるのはリスクがあるけれど、自分でやって間違えるより答えを見て「正解」を書いたほうが叱られないで済む、と思っているのかもしれないですね。彼自身の中でそういうトレードオフが成立している可能性があります。

安浪:そういう勉強を続けていると、何のための勉強だかわからなくなってしまいますよね。親子それぞれで目的がブレてくる。

■小4男子なら勉強をサボる子はたくさんいる

矢萩:昔はよくも悪くも、もっと親の価値観や優先順位がはっきりしていたんですよ。こんな学歴がほしいだったり、偏差値の高い学校に行ったほうが後々困らないからこの学校に行かせたい、だったり。でも今は、まわりの圧だとか、ママ友がみんなやらせているから、といった理由で受験に参戦してしまうご家庭が増えている印象です。そもそも何で小学校受験なのか、中学受験なのか、というのもまわりの影響が大きい。だからやり始めてから、受験する理由を探していくことになってしまうんです。

安浪:まさにおっしゃる通りです。ちなみに私立小学校の子だろうと、公立小学校で塾に行っている子だろうと、小4男子なら勉強をサボる子はたくさんいますよ。本気で行きたい学校がある子でも、6年生のこの時期はまだまだ危機感なんてないです。まずはその大前提はお伝えしておきたいです。

矢萩:それはそうですね。昆虫だとか、鉄道とかならともかく、中学受験のコンテンツを自分から主体的に学ぶようになる、ってことは小学生の場合、ほとんどないですからね。塾の先生でも家庭教師でもいいのですが、「もっとこの人の話を聞きたい」と思えるような人との出会いがあれば、だんだん主体的になっていきますけれど。

NEXT子どもは信頼している人の話しか聞かない
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