日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「ワクチン未接種者調査」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
【データが示す】ワクチン種類別・追加接種後の予防効果の推移はこちら
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オミクロン株の流行を受けて適応されていた「まん延防止等重点措置」解除から2週間が過ぎました。定期的に外来を受診されている方からは、「最近は、在宅勤務ではなく出社しています」という声や、「しばらく休んでいた運動を再開しました」という声が多く聞かれてきました。その一方で、「コロナが怖いから、まだ人と会うことや外出は極力控えています」という声や、「久しぶりに外出したら、駅や電車に人が多くてびっくりした」という声も聞かれます。
勤務先の内科外来に発熱を含む風邪症状を主訴に受診される患者さんの数の推移や日本の新規感染者数のデータから、私は新型コロナウイルス(以下、コロナ)感染症の第6波は3月末で落ち着くだろうと予想していました。しかしながら、2022年4月3日時点の新規感染者数は7,899人であり、最も多かった2月9日の1万8,287人からは減少しているものの、3月中旬の感染者数とあまり変わりません。第6波はピークアウトしたとはいえ、感染者数が横ばいで推移しているのと同様に、風邪症状を認めて内科外来を受診される方も、一時期よりは減ったものの、まだまだいらっしゃいます。
つい先日のことでした。「派遣で働いているので、翌日発熱して休んだら仕事がなくなってしまう。本当はコロナワクチンを打ちたいのですが、まだ接種できていないのです‥」と診察室に入るなりおっしゃる50代の女性がいました。発熱はしていないものの、咳と喉の痛みが数日前から続いており、「コロナだったらどうしよう」と不安になり受診された方でした。「コロナになって休むことになっても仕事を失うし、コロナワクチンを接種したい気持ちは当初から持っているものの、ワクチンを接種した翌日に熱がでたら勤務できず仕事を失うし、かといってワクチン接種のために休みを確保することもできない……」とおっしゃいました。