大阪市消防局と大阪市福祉局が高齢者福祉施設に出した要請文
大阪市消防局と大阪市福祉局が高齢者福祉施設に出した要請文

 このスタッフによれば、大阪市保健所に連絡してはいるものの、つながらない状況が続いているという。

「20~30回かけてもつながらないことが大半です。たまにつながると『番号間違いしていないか』と驚くくらいの頻度でしかつながりません」(前出のスタッフ)

 メールを配信した大阪市福祉局に取材をすると、こう回答した。

「消防局から高齢者施設に一斉メールのシステムで送信してほしいと依頼があり送った。中身は関知していない」

 119番通報が激増し、搬送先の病院が見つからないケースが2月に入り、増えているという事情もあるようだ。

 吉村洋文大阪府知事は「入院している人の8割は70代以上の高齢者で、高齢者を守るための対策に力を入れたい」と高齢者の外出自粛などを訴えている。

 一時期は緊急事態宣言も検討された大阪府だが、「新規感染者数はピークアウト、頭打ち」(吉村知事)と見送られたが、医療ひっ迫は続いている。

 吉村知事が新型コロナウイルス対策本部会議を18日に開催したところ、専門家の間で「オーバーベッド」(病床数より患者が多い)というフレーズが繰り返された。出席者の一人から「17日には1日54人もの死亡が確認された。緊急事態宣言を要請するレベル」という意見も出された。

 18日には1万1505人の新型コロナウイルス感染が確認され、60~90代の男女39人が死亡、うち基礎疾患のない60代男性1人が自宅で亡くなった。医療現場は混乱を極めており、医療ひっ迫は続いている。

「ある高齢者が新型コロナウイルスに感染し、地元の病院に連絡したところ、入院できることになった。だが、しばらくして大阪府のフォローアップセンターと調整できていないという理由で病院からペンディンツの連絡があった。結局、高齢者は入院できないまま、自宅で亡くなったと聞いた」(元市議)

 大阪市住之江区にある日本最大級の国際展示場「インテック大阪」に吉村知事が84億円をかけて開設した、大阪コロナ大規模医療・療養センターは、中等症患者用の200床を確保し、15日から運用が開始されたが、実際はガラガラの状態だ。

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「オーバーベッド」で医療ひっ迫