1日おきに練習をしているゲレンデの甲田さん(写真左/写真提供・菅平パインビークスノーボードスクール)
1日おきに練習をしているゲレンデの甲田さん(写真左/写真提供・菅平パインビークスノーボードスクール)

 ゲレンデには1日おきに出て、シーズン中は60日程練習をしているそう。北京五輪で躍進するスノーボードの日本人選手たちを見て甲田さんは「仲間」だと言う。

「完全に仲間ですよね。“みんな頑張って!”という気持ちです。スノボ女子パラレル大回転の竹内智花選手が銀メダルをとったソチ大会の直前に菅平に練習にきていたんですよ。だから仲間ですね、向こうは知らないだろうけど(笑)。今回の北京五輪のスノボ女子パラレル大回転の三木つばき選手は、菅平パインビークで彼女が子どもの頃から一緒に滑っていた。お母さんが三木選手を連れて、冬場はずっと菅平に来ていました。お母さんとお話しましたが、三木選手は面白い子でしたよ。そんな10代後半から20代の子たちを見ていて“あぁ~負けたくないな”って思います。だから、練習しているですよ!人の5倍練習して、5倍の密度をかけて、5×5で25倍かかるんですよ。でも、25倍かければ追いつく、何年か前の彼ら彼女らの滑りはできる!自分でからだの作り込みさえできれば、80歳でもスノーボードは滑れます。僕としては70代それがどうした? です」

 甲田さんには年齢に対して“持論”があると言う。

「僕の持論を申し上げていいですか? 年齢というのは毎年律儀に取るもんじゃない。僕は50歳まで自分の年がわからないでいたんです。妻と19歳で結婚したんですが、“あ、19歳で僕の時計は止まっていたな”と、50歳の時に気付いたんですよ。だから、50歳の時に成人になったんです。それから、年は毎年取るものではなくて、自分で振り返った時に、“あ、この瞬間、1つ年を取ったな”という年の取り方をしているんです。去年の6月までは29歳。人生において、何か気づきがあったときに年を取ります。平野歩夢選手の決勝の結果の話から、僕のこんな話はパッとしないよね!?(笑)」

 甲田さんの「孫と同い年」という平野歩夢選手は、予選後の会見で「完成度は極めたい」と語っていた。甲田さんもまた80代、90代……に向けて完成度を極めているようだ。(AERAdot.編集部 太田裕子)