でも僕は研究が大好きで楽しくてしょうがないんです。こんなくだらないことで実験をあきらめるのはもったいないし、先生が言ったからだめだと決めるのではなくて、実証する姿勢が科学者として何よりも大切だと思いました。科学に誰が正しいということはないのですが、うまくいくかどうかはわからなくても、自分のやりたい実験は自分で確かめなければだめだと思ったんです。

 そこでほかの先生に頼んで鍵を開けてもらって、指導教員がいないときにこっそり実験したところ、「うまくいくわけない」と言われていた実験がことごとくうまくいったんです。その経験があってから僕は、「誰かが無理だと言った時こそうまくいくんだ」と思い込むようになりました。今はどんな批判にさらされても、「またうまくいかないって言われた、じゃあうまくいくぞ」と喜んじゃいますね(笑)。

■高1の時から自分でアポを取り、全国の大学へ

――高校2年生の時に総務省のプログラムに研究が採択され、ひやっしーを発明されました。その後も研究を続けて広島大の先生を訪ねたりされたそうですが、それは論文を読んだりして自分でアポを取ったんですか?

 集めた二酸化炭素を何かに役立てられないかと思い、ある学会の講演資料を見て、二酸化炭素から燃料になる「メタン」を合成する研究室が広島大にあるということを知りました。「すごく興味があるので研究室を見学させてほしい」とメールを送ったらすぐにOKが来て、夜行バスに飛び乗りました。高校1年生のときから、面白そうな研究を見つけたらアポを取って全国の大学に行っていたんです。両親はそのための費用は惜しまず、後押ししてくれました。

 最初は見学だけのつもりだったのですが、先生が「君、面白いねぇ。気に入った!」と言ってくださり、別の長期休みの時に1週間ぐらい、寮に泊まらせて頂きながら実験をしていました。その最終日、二酸化炭素とアルミ、そして水からメタンを作る化学反応を発見しました。今まで見つけられなかった、レアメタルなどを用いずにエネルギーを生み出す反応が見つかったんです。

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