「AERA English 特別号 英語に強くなる小学校選び2020」(朝日新聞出版)の特集「スーパーキッズはこう育った!」では、幼くして英語をマスターした子どもたちの足跡をたどっています。岡山の歴史を英語でガイドする川上拓土くん(11)は、両親が英語を話せないにもかかわらず英語が大得意。その理由をお母さんは「自分が英語を話せないからこその成果」と語ります。
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岡山県・倉敷で一人の少年が、ネイティブ顔負けの流暢な英語で外国人観光客に声をかけていた。
「Hi, do you have any spare time?」
川上拓土くんの着ているビブスには「Please feel free to talk to me in English!」と書かれており、話しかけられた観光客はそれを見て相好を崩す。「Sure, why not?」と返事をもらうと、拓土くんはここ美観地区にある大原美術館についてのガイドを始めた。
生後6カ月のとき、近所のショッピングモールで「ディズニー英語システム」と出合った。拓土くんの母・京子さんは、最初は無料で撮れるディズニーキャラクターとの記念写真に興味があるだけだった。しかし、売り場で言われた「お母さんは日本語って勉強して覚えましたか?」という一言が、運命を変えた。
そもそも言葉は教わるものではなく、小さいころに音を聞いているうちに、自然とできてしまうもの。英語も同じように小さいころから聞いていればできるようになる。そんな話を聞き、「英語もやってみよう」と決心した。
「教材のDVDを見ているうちに、いつのまにか音とスペルを結び付け、4歳で英語の絵本を読み始めていました」(京子さん)
保育園のときからすでに英語を話していたが、周囲に英語を話す人がいなかった。「こまま英語が役に立たないものだと感じてしまったら……」と京子さんは焦り、街中で外国人観光客を見つけ、拓土くんに「ハローって話しかけてみたら?」と言ってみた。すると拓土くんは物おじせずに話しかけ、すぐ仲良くなってしまった。
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