鴻上尚史さん(撮影/写真部・小山幸佑)
鴻上尚史さん(撮影/写真部・小山幸佑)

「女って面倒な生き物ですか?」と問う32歳女性。この言葉に切ない気持ちになってしまったという相談者に、鴻上尚史がまず分析した「一般化の誘惑」とは?

【相談119】鴻上さん、女性って面倒な生き物だと思いますか?(32歳 女性 モウマンタイ)

 はじめまして。

 人生相談というほど、大きい悩みではないのですが、気になることがあり投稿いたしました。

 私の気になっていることは「女性って面倒な生き物なのか?」ということです。

 正直、生きていて「女性って面倒だな」と思ったことがありません。

 勿論、面倒だなと感じる人はいますが、それはその人が起こした事案や態度が面倒なだけで、男女関係なく、もしかしたら馬でもでも面倒だと感じる可能性が高いと思うからです。

 学生時代は「女性って面倒!」と発言しているクラスメイト(女性)に、どのあたりが面倒と感じるのか? その面倒な部分が男性にはないのか?と理解したい気持ちで聞いていたのですが、「面倒じゃないの? 私はすごく面倒!」と言われ、具体的な指摘を聞けてはおりません。

 そして女性って面倒と言われてなんだか(今も少し感じますが)切ない気持ちになってしまいます。

 鴻上さん、女性って面倒な生き物だと思いますか?

【鴻上さんの答え】
 えっ? モウマンタイさん。「女性って面倒な生き物だと思いますか?」ですか。

 僕の答えは、「女性には面倒な人もいるし、面倒でない人もいるし、もちろん、男性にも面倒な人もいるし、面倒でない人もいるし、モウマンタイさんが言うように馬や猫、犬にも面倒なタイプとそうでないタイプがいるでしょうが、そもそも、『面倒』というのは何について面倒なのか、仕事にはぜんぜんこだわらないのに食事と着る物に関していろいろとお節介で面倒な人はいるし、人によっては、いろいろと言われることが『面倒』と思う人もいれば思わない人もいるわけで……それで、質問はなんでしたっけ?」となります。

 これを一口で言うと「話が長い!」ということです。

 で、話が長いことが嫌な人は、いきなり全体を語ります。これを「一般化」といいます。

「女性は~」「男ってのは~」だけじゃないですよね。「日本人は~」「大阪人は~」「アメリカ人は~」「中国人は~」「東北人は~」「団塊の世代は~」「ゆとり世代は~」なんて、目の前の人を「一般化」して語る人はいます。

 利点は「話が早い」ことですね。

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鴻上尚史

鴻上尚史

鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)/作家・演出家。1958年、愛媛県生まれ。早稲田大学卒。在学中に劇団「第三舞台」を旗揚げ。94年「スナフキンの手紙」で岸田國士戯曲賞受賞、2010年「グローブ・ジャングル」で読売文学賞戯曲賞。現在は、「KOKAMI@network」と「虚構の劇団」を中心に脚本、演出を手掛ける。近著に『「空気」を読んでも従わない~生き苦しさからラクになる 』(岩波ジュニア新書)、『ドン・キホーテ走る』(論創社)、また本連載を書籍にした『鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』がある。Twitter(@KOKAMIShoji)も随時更新中

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