実際、今回の件以外にも、複数のラーメン評論家からセクハラや中傷などがあったという。

「ある方は、初対面にもかかわらず、断りもなくいきなり肩に腕を回してきて写真を撮ろうとしてきたり、他の方からは『あの店には反社がついてる』『他に運営会社がある』などと言われたこともありました。中傷についてはもちろん全てうそで、事実無根です」

 中には権威のあるラーメン雑誌のランキング審査員をするような人もいたというが、梅澤さんは泣き寝入りをせず、「立ち入り禁止」を表明した。どのような思いがあったのか。

「開店から4年間、ずっと今回お話しているような嫌がらせがあったのですが、とにかく歯を食いしばり、頑張って耐えてきました。ですが、私も人間ですので、我慢の限界がきてしまいました。やはり日本では、まだ女性が男性から下に見られやすいというのをニュースなどで目にしますし、実際に私自身が今回お伝えしている内容からしても、それがわかっていただけると思います。フラットな関係にしていくためには、今回のように声を上げて行動する必要がありますし、少しでも皆さんのジェンダー意識が高まればと思っています。今回の件によって、常識と良識を持って接していただき、新たにラーメン店を始める店主さんたちが運営しやすい環境になってくれたらと思っています。そして、私も一番やりたい『ラーメン作り』に熱中できたらと思っております」

 はんつ氏に改めて梅澤さんの反論について見解を求めようと、業務提携先を通じて取材を申し込んだが、

「本人の意向で、今回は対応できない」

 との回答だった。

 前代未聞のラーメン店による評論家の“出禁騒動”は、今の日本に横たわる根深い問題をはらんでいる。(AERA dot.編集部・飯塚大和)