この動画だけではない。主力選手たちが冷ややかな雰囲気を醸し出し、声出しをする若手が委縮する。他球団の選手から「あの円陣は『いじり』でなくいじめでしょう。あんな環境でプレーしたくないです」という声が聞かれるほどだった。

 だが、今は違う。若手たちが安打で出塁したり、適時打を放つとベンチは大盛り上がり。高濱が12日のソフトバンク戦(札幌ドーム)で3回にチームトップの8号左越えソロを打った際は、ベンチ前で清水優心とタッチを繰り返すホームランパフォーマンスを見せて満面の笑みを浮かべていた。

「高濱は支配下登録から育成契約を味わい、再びはい上がってきた苦労人です。高濱のように一球一打に対する執念を感じさせる選手が少なくなっていたので、他の選手に良い刺激を与えていると思います。日本ハムは上下関係が比較的緩く、ファミリー球団の気質が受け継がれていたが、近年は自主性を尊重した雰囲気が良くない方向に出ているように感じていました。主力選手の目に余る態度を取っても誰も注意しない。暴力事件や差別発言問題など色々ありましたが、もう一度襟を正して選手たちだけでなく首脳陣も野球に真剣に向き合う時だと思います」(スポーツ紙デスク)

 もちろん、中田一人に責任があるわけではない。ただ中田が退団したことはチームを大きく変える転機でもある。選手たちは失った信頼を取り戻すためにも、日本ハムを変革する自覚を持ってプレーしてほしい。
(牧忠則)