球界屈指の名遊撃手に成長した巨人・坂本勇人 (c)朝日新聞社
球界屈指の名遊撃手に成長した巨人・坂本勇人 (c)朝日新聞社

 80~90年代を代表する名二塁手といえば巨人・篠塚和典。

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 天才的な打撃とともに堅実な守備で知られた男は、現在の内野手をどう評価しているのか。

「ハヤト(巨人・坂本勇人)は基本に忠実にやっている。あいつの守備は変わった。良くなったよ」

 まず名前を挙げたのは坂本だった。10代の頃から名門のレギュラーとして試合に出続け、右打者として史上最年少で2000本安打も達成。芸術的な内角打ちとチャンスでの強さで打撃のイメージが強いが、遊撃手の守備でも球界トップクラスと評価されている。入団当初、篠塚は打撃コーチとして身近で接していたこともあり成長の度合いを知っている。

「天才型に見えるけど本人の意識が高く努力できる選手。また宮本慎也(元ヤクルト)とオフに自主トレをやるようになり明らかに変わった。宮本は現役時代から本当に基本通り。シートノックでもしっかりステップして投げる体勢を作っていた。そういうのをハヤトも教えてもらったはず。かなり厳しいことも言われたんじゃないかな」

 坂本もデビュー当初はステップせずに送球することが多かったという。投手経験があるほど強肩であるためどんな姿勢でも送球できてしまうからだ。しかしプロで多くの打球を受け、名選手のプレーにも接した。球団の枠を超え宮本と練習をともにしたのも大きかった。1つ1つの積み重ねで球界きっての名内野手に成長した。

 守備の良し悪しは、ゲーム開始前の練習でもわかると篠塚は言う。

「試合前のシートノックで雑にやっていないか? 内野手のイロハをしっかりやる選手は試合でもできる。『ミスしても仕方がない』と周囲も思える。シートノックはある意味でショーだから、ノッカーもイージーな打球を打つ。小手先でも捕球できる。ファインプレーに見せようとすればできる。守備が軽いというのはそういうこと。シートノックでそう見える選手は試合で軽いプレーをしてミスをする」

「ステップが大事。シートノックはバウンドを合わせやすい打球を打つのに走りながら投げたりする。試合の間一髪のプレーなら仕方ないが、シートノックからそれではダメ。ステップすれば強くて良い球を投げられる確率が上がる。足を使った守備とはこういう部分。正面の合わせやすい打球に足を使っているかをチェックして欲しい」

 プロ選手なら簡単な打球を捕球するのはたやすいこと。しかし小手先で捕球して簡単に投げるような守備を繰り返していては先も見えている。相手チームやスタンドへのアピールも重要だが、心掛け1つで成長曲線は変わる。「基本」とは死語になりつつあるが、必要なのは今も変わらない。

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坂本以外の日本人内野手の評価は?