札幌ドームの外観(C)朝日新聞社
札幌ドームの外観(C)朝日新聞社

 8月31日。日本ハムの球団公式ホームページで、川村浩二球団社長の謝罪文が配信された。巨人にトレード移籍した中田翔が日本ハム在籍時に起こした暴力トラブルについて、球団から説明・謝罪の機会を設けなかったこと、試合前の円陣シーンの動画で選手に差別発言があったことを認めて謝罪する内容だった。

【写真】中田翔を擁護して批判を受けたのはこの人

「批判の声が殺到する中、球団もこのままではまずいと思ったのでしょう。日本ハムは選手が伸び伸びしている自由な雰囲気のチームカラーで、上下関係の垣根が低いのが特徴でした。ただ下位に低迷している近年は一部の主力選手たちが若手に対して『当たり』が強くなっていた。今回の問題が出る前にも、試合前の円陣で若手の選手が緊張しながら頑張って声を出しているのに、『やり直し』など厳しいツッコミが入ったり、冷ややかな雰囲気が流れたり、見るに堪えない動画がありました。今回の差別発言についても、誰が発言したかなどについて謝罪文で言及していない。球団は選手たちにきちんと事情聴取したのでしょうか。プライバシーの問題で控えたのかもしれませんが、被害を受けた選手がいる。対応としては物足りなさが残りました」(スポーツ紙デスク)

 問題になった動画は4月に球団公式ツイッターで公開した試合前の円陣だった。父親がコンゴ出身の高卒3年目・万波中正が「全員で勝ちに行きましょう!」と声出しした直後、「日サロ行き過ぎだろ、おまえ」と万波の肌の色をやゆするような声が入っていた。この動画が問題視されて批判の声が高まると、日本ハムは8月18日に「誤解を招く可能性がある」と動画ツイートを削除。10日以上経った8月31日に公式サイトに謝罪文を掲載した。

 川村球団社長は「本年4月11日に公開した試合前の選手円陣動画において、差別的発言が収録されていたことを心よりお詫び申し上げます。差別的発言は、どのような状況、どのような間柄であっても、決して許されるものではありません」とした上で、「円陣内の個別発言について確認が至らないまま球団公式ツイッターでそのシーンを公開したことは、当球団の管理体制が不十分でした。今後は監督、コーチ、選手、その他役職員を含む全てのチーム関係者に対してコンプライアンス研修等を実施するとともに管理体制を強化し、再発防止を徹底して参ります」と約束した。

次のページ