8月25日の首相会見で頭を下げる菅義偉首相(C)朝日新聞社
8月25日の首相会見で頭を下げる菅義偉首相(C)朝日新聞社

 8月25日の夜に行われた菅義偉首相の会見は、またもや国民の気持ちを逆なでするような発言が相次いだ。

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「ワクチン接種はデルタ株にも明らかな効果があり、新たな治療薬で重症化を防ぐことも可能で、明かりはハッキリと見え始めています」

 新型コロナウイルスの感染爆発により、各地で医療崩壊が進むなか、自宅療養を余儀なくされた人が毎日のように亡くなっている。いまだ感染者数のピークもみえない状況にもかかわらず、「明かりが見え始めた」などと楽観的に語る菅首相には、会見場でもため息がもれていた。

 さらに、注目されている衆院解散総選挙の時期に関する質問には、のらりくらりと論点をズラしながらこう述べた。

「衆議院の解散総選挙。選択肢は非常に少なくなってきているというふうに思っております。ただ、私はあくまでも新型コロナウイルス対策を最優先するとたびたび申し上げている。そういう中で判断をしていきたい」

 つまり、何も答えていない。別の記者からは自民党総裁選出馬についても質問が出たが、出馬については否定も肯定もせず、コロナ対策に全力で取り組んできたことを強調した。

 記者(筆者)は首相続投の意思について直接聞きたいと、8回の質問の機会すべてに手を上げ続けたが、指名されることはなかった。他にも手を挙げ続けても指されない記者は多く、会見はきっちり1時間で打ち切られた。

「もう会見に出ても意味がない。いつも厳しい質問をしていたら、当てられなくなりました。私はもうブラックリストに入っているのでしょう」

 と不満を漏らす記者もいた。

 菅首相は批判に正面から向き合おうとせず、記者の厳しい質問からも逃げ続けているが、不満は身内からも噴出し始めている。

 8月22日に投開票された横浜市長選で、菅首相が推した自民党の小此木八郎氏が破れたことで、自民党内では若手、中堅を中心に「衆院選の顔が菅総理では選挙を戦えない」と首相交代論が噴き出している。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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