1次リーグから準々決勝・米国戦まで3試合連続逆転勝利。準決勝・韓国戦、決勝・米国戦も終盤まで息の抜けない試合だったが、しぶとく勝ち抜いて頂点に立った。テレビ関係者は稲葉監督についてこう語る。

「今回の侍ジャパンは稲葉監督と選手たちの距離が近かったように感じました。正直、稲葉監督の采配が裏目に出た場面は何度もありました。でもそこで重苦しい雰囲気になるのではなく、みんなでミスをカバーし合おうと団結した。逆転勝ちや終盤での強さを発揮したのは稲葉監督が築いたチームだからこそだと思います。原辰徳監督や星野仙一監督のようなカリスマ性があるわけではありませんが、選手との対話を重視して寄り添うスタイルで選手からも信頼された。新たな指導者像を確立したと思います」

 そして、女子バスケで史上初の銀メダルに輝いた日本代表のトム・ホーバス監督の功績も後世に語り継がれるだろう。

 身長193センチのエース・渡嘉敷来夢(とかしき・らむ)が負傷で五輪のメンバーから漏れたことは大きな痛手だったが、ホーバス監督は目標の金メダルに向けて信念がブレなかった。

 選手の平均身長は176センチと他国より低かったが、豊富な運動量とスリーポイントシュートで高さの弱点を補う「スモールボール」を確立。準々決勝のベルギー戦では2点ビハインドの残り16秒で、林咲希が劇的な逆転3点シュートを沈めて劇的な逆転勝利。準決勝・フランス戦も予選リーグに続く再戦で87-71と快勝した。決勝・米国戦は敗れたが、世界中のバスケットファンを魅了するプレーを見せた。

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ホーバス監督の奥さんは日本人