後半戦もチーム浮沈のキーマンになりそうな佐藤輝明(写真提供・阪神タイガース)
後半戦もチーム浮沈のキーマンになりそうな佐藤輝明(写真提供・阪神タイガース)

 5戦全勝で悲願の金メダル獲得を果たした侍ジャパン。一方でプロ野球のペナントレースは約1カ月という異例の長期中断となっており、各球団立て直しを図っている。そこで今回は中断期間に行われたエキシビションマッチなど東京オリンピックの間にプロ野球界で起こった出来事を振り返りながら、後半戦の注目選手、注目ポイントなどを探ってみたいと思う。

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 エキシビションマッチの前半で圧倒的な存在感を見せたのが佐藤輝明(阪神)だ。7月27日に行われたロッテ戦でいきなり2本のホームランを放つと、1日空けて29日からは3試合連続ホームランを記録。8月3日、4日のオリックスとの連戦では2試合で6三振と相変わらず粗さは見せているものの、中断期間でもしっかりと持ち味である長打力を発揮しているところはやはり並のルーキーではない。中断前は少しホームランが出ない期間はあったものの、三振を恐れずにしっかりスイングする姿勢を継続することができれば、ルーキー歴代最多記録の31本塁打を更新する可能性も高い。

 投手で楽しみな活躍を見せたのが佐々木朗希(ロッテ)だ。7月27日の阪神戦では佐藤輝明に先制のツーランを浴びたものの、それ以外はしっかり抑えて3回で4奪三振の好投。その後に中6日で登板した8月3日の中日戦では4回までパーフェクト、最終的にも5回を被安打1、自責点0、4奪三振と圧巻のピッチングで中日打線を完全に抑え込んだ。ストレートの最速も一軍では最速となる158キロをマークしており、ここへ来て一気に調子を上げてきた印象を受ける。これまでの起用法を見ていても様子を見ながらの登板を継続する可能性は高いが、中日戦のようなピッチングを続けることができれば大きな戦力となることは間違いない。チームは首位のオリックスと2.5ゲーム差の3位につけているが、優勝への切り札となる可能性も十分にありそうだ。

 新戦力として期待がかかるのが首位を走るオリックスのスパークマンだ。6月末に来日し、7月中旬にチームに合流。一軍初登板となった7月31日の巨人戦は3回を投げて1失点、4四球と制球に不安を残したものの、2回目の登板となった8月6日の阪神戦では4回を被安打1、6奪三振で無失点と見事なピッチングを見せた。コンスタントに150キロ台をマークするストレートは勢い、ボールの角度ともに申し分なく、縦に鋭く変化するスライダーも決め球として使えるだけの威力がある。チェンジアップ、カーブの緩いボールの精度が上がってくれば、十分に先発を任せられるだけの力はありそうだ。エースの山本由伸のオリンピックでの疲労も気がかりだけに、スパークマンがローテーションとして機能すればチームにとっては大きなプラスとなるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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