水谷は自らツイッターを更新し、「とある国から、『○ね、くたばれ、消えろ』とかめっちゃDMくるんだけど免疫ありすぎる俺の心には1ミリもダメージない。それだけ世界中を熱くさせたのかと思うと嬉しいよ」と発信。これに対して、伊藤は沈黙を守ったまま女子シングルスに挑んだが、準決勝で中国人選手にストレート負け。その試合後のインタビューで悔し涙を流すと、今度は中国のSNS「微博(ウェイボー)」で「伊藤美誠が泣いた」がトレンドワード1位に浮上。「ざまあみろ!」と伊藤のインタビュー動画には多数の“いいね”が付くなど、中国人たちによる“攻撃”は収まる気配を見せなかった。

 その中で迎えた団体決勝。試合には勝てなかったが、銀メダルとなったことで伊藤は図らずも「金銀銅コンプリート」することになった。誹謗中傷については許されるべきものではないが、それだけ卓球王国・中国から警戒される選手となったという証でもある。まだ20歳。この日、伊藤自身が口にした「楽しかった」という言葉を胸に刻み、「大魔王」という呼び名に相応しい圧倒的な強さを手に入れてもらいたい。次の五輪では、一切の文句を言わせない勝利を掴み取ってもらいたい。

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