五輪直前の女医の発言は日本の良心「今、人類がすべきは集まってスポーツをすることではない」 (1/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

五輪直前の女医の発言は日本の良心「今、人類がすべきは集まってスポーツをすることではない」

連載「おんなの話はありがたい」

国立競技場(c)朝日新聞社

国立競技場(c)朝日新聞社

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表

 作家・北原みのりさんの連載「おんなの話はありがたい」。今回は、本日から競技が始まった東京五輪・パラリンピックについて。

【写真】「居酒屋のユニホーム」と酷評された東京五輪表彰式の衣装はこちら(他5枚)

*  *  *
 1936年、4年後のオリンピックが東京で開催されることが決まった年、それはもう大変な騒ぎだったという。東京女子医大創設者の吉岡彌生が、日本女医会誌の巻頭言でこう記している。

「朝野の人々等は、多年の宿望達せりとて狂気の如く打ち欣び、莫大の資を投じて各種祝賀の催物さへ行はれたと聞く」

“皇紀2600年”の大イベントと位置づけられた厳粛さを求められる1940年東京五輪、さすがに首相自ら海外の五輪会場に乗り込み、ゲームの主人公に扮して“東京で待ってまーす”というようなお祭り騒ぎをするようなことはなかっただろうが、それでも日本の女医の道を大きく切り開いた当時65歳の吉岡彌生は、「狂気の如く打ち欣ぶ」お祭り騒ぎに苦言を呈している。

“(五輪は)お祭り騒ぎをするものではなく、国民の公徳心を高める機会にするべきだ”と。そして3つの提案をしていた。それがこれだ。

1:路上に痰を吐かないこと
2:ゴミや吸い殻を路上に捨てないこと
3:電車等に乗るとき、我先にと乗り込まないこと

 85年後の東京でも、余裕でそんな人、いくらでもいますよ! と思わず叫びそうになる。というか、その程度の3つで、昔はよかったんですか! と涙が出そうだ。今の五輪に対してなら、吉岡先生はなんて言うだろう。

1:東京の夏は温暖で過ごしやすいとか、汚染水はコントロールされているなどと嘘をつかないこと
2:他の人がつくった意匠をまねしないこと
3:賄賂を渡さないこと(少なくとも疑われるようなことをしないこと)
4:女性を豚にたとえたり、「わきまえない」などと侮辱したりしないこと
5:競技場設立のために人のすみかを奪わないこと
6:弱い立場の者を虐待した過去を自慢しないこと

(まだまだあったような気もするが、忘れているだけかもしれない)そして多分、医者としてこうも言っていたことだろう。


トップにもどる dot.オリジナル記事一覧

続きを読む

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい