春の交通安全運動の風景(C)朝日新聞社(写真はイメージです)
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筆者と警察官がやりとりした『シグナル』画面
筆者と警察官がやりとりした『シグナル』画面

 厳粛な情報管理が徹底している警察組織。現代社会に暮らす以上、警察官とてSNSとは決して無縁ではないが、利用は厳禁である。

【写真】筆者が警察官とやり取りしたSNS画面

 しかし一方でSNSは刑事たちの情報収集・連絡手段として欠かせないものとなっているようだ。ある種のジレンマを抱えながら日夜捜査に明け暮れる刑事たちはSNSをどのように使いこなしているのだろうか。

 「張り込み中~」の文字とともにサングラスをかけた捜査関係者の自撮り写真がFacebookのメッセンジャーから記者に送られてきたことがある。関係者とはLINEでもつながっていたが、一度もやり取りを交わしたことがなかった。最初にこう言われたからである。

「LINEは漏れるから使わない」

 警察関係者によれば、犯罪捜査規範に則り警察官はSNSの利用は固く禁じられている。理由はもちろん情報漏洩を防ぐ意味合いからだという。

「SNS利用に関しては基本的に禁止。とはいえ必要な場面もあるのは確か。捜査員の間では一定のルールの下で運用されているのが実態。最も注意喚起されるのは個人情報が特定されるような書き込みが禁止されていることだ」

 使用に際してはもちろん、上司の許可を得ることが必要だという。実際にどのように利用されているのだろうか。

「複数の関係先の一斉ガサ入れをやる時にグループLINEを使っている。第三者にはわからない暗号キーワードや絵文字を使ってやっている」(警視庁捜査関係者)

 記者が見せてもらった画面にはやり取り上のはじめに「サメ」のマークが踊っていた。詳しく聞いてみると「ハンマーヘッドシャーク」を意味しているとのことで家宅捜索の隠語の「打ち込み」から連想するようにマークの意味を捜査員の間で共有しているのだという。返信欄には別の捜査員からの「いいね」の親指マークがずらりと並んでいた。

 警察内部でも情報管理が更に徹底している公安部門ではどうなのか。公安捜査関係者が明かす。

「我々はLINEは使わない。書き込み内容が自動的に消去される機能を備える『ワイヤー』や『シグナル』を使っている」

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公安警察が使う『シグナル』のメリット