「まず関節の動き出しに症状が出ます。つまり、歩き始めや立ち上がるとき、階段の昇降時などに痛みが起こり、歩いているうちに痛くなくなるのが特徴です」(関矢医師)

 症状が進行すると、徐々にひざの痛みが強く、持続するようになる。さらに曲げ伸ばしが困難になり、脚の変形の度合いが強くなる。末期には、日常動作に困るほどひざが動かなくなり、歩行障害が表れる。早い段階で、ひざの状態を確かめ、悪化を防ぐための治療に取り組むことが肝心だ。

 治療法は、痛みの訴えと画像検査による変形の進行度で選択されるが、眞島医師は「まずは患者が自身のひざの状態と、なぜ痛みが起こるのかメカニズムを理解することが重要」だと話す。

「ひざには片足立ちするだけで体重の3倍の力がかかります。ひざの負担を減らすため、体重の5%減を目標とした体重コントロールをおこない、しゃがむ動作を減らすなど生活動作を見直しましょう」(眞島医師)

 治療の基本は、保存療法だ。すぐ手術が必要な人は一部にとどまる。関節の可動範囲を広げるストレッチや膝関節を支える筋肉を鍛える筋肉トレーニングなどの運動療法で、症状の改善を目指す。

 とくに太ももの前側のひざを伸ばす筋肉である大腿四頭筋を鍛える訓練が、ひざの負担を軽減して痛みを改善するのに有効と、関矢医師は言う。

「痛みや炎症が強いときには、NSAIDsなどの消炎鎮痛剤の内服薬や外用薬を使います。胃腸障害の副作用の少ないCOX2阻害薬もよく処方されます。効果が不十分な場合は、オピオイド系鎮痛薬のトラマドールも用います」(関矢医師)

運動療法が有効 再生医療も選択肢に

 そのほか、関節内に動きを滑らかにする作用があるヒアルロン酸を注射する療法も効果がある。1週間に1回注射し、5回おこなう。

「抗炎症作用の強いステロイドの関節注射も使われる場合がありますが、海外の研究では、運動療法のほうが変形の進行抑制効果が高いことがわかっています」(眞島医師)

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スポーツ選手のけがの治療で注目