最近、保険適用外だが、再生医療による治療法が選択肢に加わった。PRP(多血小板血漿)療法といい、採血した自己血から成長因子を多く含む血小板血漿を取って濃縮し、それを関節に注入する。抗炎症作用と組織の修復促進作用が期待できる。自身の血液を使うためアレルギー反応が起きにくく、入院も必要ない。プロスポーツ選手がけがの治療に採用して注目されてきたが、この1、2年でO‌Aに応用され始めた。厚生労働省に届け出た、一部の病院で実施されている。治療費は約30万~40万円かかる。

「高濃度PRPの注射では基本的には1回で済み、ヒアルロン酸注射よりも効果が高く、持続します。当院では、有効成分の濃度が高いAPS(自己タンパク質溶液)療法を実施しています。ただし、変形が強い人は、軟骨が再生してもまたすり減って効果が期待できず、すすめられません」(同)

 もし、これらの保存療法を十分におこなっても、関節の変形が進行してつらい症状が改善せず、日常生活の動作に支障がある場合は、人工関節に置換するなどの手術が必要になる。

 自分の病状に合った保存療法をおこなって変形の進行を抑え、手術せずにずっと痛みなく歩ける生活を目指そう。

(文・坂井由美)

週刊朝日  2021年3月5日号