コロナで元気付く中国と後れを取るアメリカ…変わる世界勢力図を内田樹が分析 (1/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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コロナで元気付く中国と後れを取るアメリカ…変わる世界勢力図を内田樹が分析

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内田樹さん(左)、岩田健太郎さん(右) (撮影/水野浩志)

内田樹さん(左)、岩田健太郎さん(右) (撮影/水野浩志)

「一帯一路」勢力圏を強化する中国、国防戦略の書き換えが必要になるアメリカ──内田樹さんと岩田健太郎さんが語り合った、コロナ・パンデミックによる世界のしくみの変化とは? 『コロナと生きる』(朝日新書)より、再構成して紹介する。

*  *  *
■パンデミックで加速する中国の広域経済圏構想

岩田:アメリカの感染拡大が収まらない一方で、中国が今、「スーパーパワーの肩代わりをしよう」というノリになってますよね。ここぞとばかりに「海外に支援するぞ」とか言って。

 確かに、中国がいまや一番元気といえば元気で、ヨーロッパも感染が全然抑えられてないし、ロシアもかなり感染が拡大しています。ですから、世界全体を見渡すぐらいの余裕があるのは中国ぐらいかもしれません。内田先生は、これからの世界の仕組みはどのくらい変わると考えていますか。

内田:おっしゃるとおり、鍵になるプレイヤーは中国だと思います。アメリカが身動きできない状態で、中国に相対的に外交上のフリーハンドが与えられた。この見通しはだいたいどなたも異議はないと思います。

 アメリカがいわば鎖国状態ですから、当然中国は「これまでアメリカが介入してきてできなかったこと」を次々と本格化するでしょう。先月の香港に国家安全維持法を導入した件もそうだし、東シナ海、南シナ海での国境侵犯も増している。

 でも、僕たちはつい自分たちに関係のある東アジアのことばかり気にしますけれど、注目すべきは「一帯一路」勢力圏です。陸路をまっすぐ西へ向かうシルクロード経済ベルトと、海路を南下して、マラッカ海峡からインド洋、紅海を経由して東アフリカへ向かう21世紀海洋シルクロード、この「中華帝国」の版図を西と南に広げる広域経済圏構想がコロナ・パンデミックで加速する可能性があると僕は見ています。

 シルクロード・ベルトは、新疆ウイグル地域から、カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタンからトルコに至るスンニ派トルコ系民族の土地です。中国はここに巨大な物流のハイウェイを通すつもりでいますが、そのためには周辺国との友好関係が不可欠です。これらの国々でのコロナの感染状況については十分な情報がありませんけれど、公衆衛生がそれほどよくないので、感染が広がると医療崩壊が起きるリスクがある。


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