菅義偉官房長官 (c)朝日新聞社
菅義偉官房長官 (c)朝日新聞社
『官房長官 側近の政治学』星浩著ISBN:9784022630216定価:1320円(税込)※詳細はこちら
『官房長官 側近の政治学』
星浩著
ISBN:9784022630216
定価:1320円(税込)
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 連続在任日数で歴代最長となった安倍政権のあとを受け、自民党総裁選挙が実施される。本命はその最長政権を終始支え続け、すでに国会議員票の7割を固めたとも言われる菅義偉官房長官だ。9月14日に迫った総裁選を前に、著書『官房長官 側近の政治学』で菅義偉氏にロングインタビューを行った、元朝日新聞特別編集委員でTBS系「NEWS23」キャスターの星浩が新政権の展望について語った。

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■石破氏にだけは政権を渡したくない

 8月28日に安倍(晋三)さんが退陣表明し、憲政史上最長の記録を作った安倍政権が終わることになりました。

 安倍さんの本音としては、できれば政界の同期で仲の良い岸田(文雄)さんに政権を譲りたかったでしょう。しかしその岸田さんは給付金問題の失敗などで、このところ評判がよくありません。

 安倍さんの退陣にあたって、おそらく菅さんと二階(俊博)さんは、「後継はどうするんですか? このままでは石破(茂)さんですよ」と迫ったはずです。森友問題や桜を見る会の件でたたかれた安倍さんとしては、石破さんにだけは政権を渡したくないという思いが強く、「そういうことなら、しかたない。菅さん、あなたが出なさい」となって、一気に「安倍さんの後継は菅さん」という流れになったのでしょう。

 菅さんが次期総裁となることは、ほぼ確定的です。9月14日の自民党総裁選の後、16日には臨時国会で首相指名が行われ、菅政権がスタートすることになります。

■新政権の最大の課題は外交問題だ

 新政権の大きな課題として、「対米、対中関係をどう仕切っていくのか」という外交問題があります。

 菅さんは携帯電話の料金の値下げを進めたり、緊急放流できるダムの範囲を広げたりといったように、調整力を発揮して個別の問題を解決していくことが得意です。また内政については官房長官としてつぶさに見てきたので、すべきことは熟知しています。一方、グローバルな問題やマクロ経済、理念的な問題については、未知数です。

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新・立憲民主党の枝野代表がかみついた!