中国はコロナ禍以降、対外的に非常に強硬な態度を見せており、アメリカとの関係は険悪になっています。日本は国別の貿易額では中国が1位ですが、安全保障はアメリカに頼らざるを得ません。米中の対立の中で、どのような立ち位置を取っていくのか。新政権の一つの見所といっていいでしょう。

■新・立憲民主党の枝野代表がかみついた!

 安倍政権は経産省出身の官邸官僚を利用して規制改革を進めましたが、菅さんは従来型の、財務官僚中心の調整型政治に回帰しそうです。財務官僚は政策上の問題を全体的に把握していますから、菅さんの不得意なところを埋める形で政権を助け、そのうちに消費税を上げる方向に持っていこうと考えているでしょう。テレビ番組の中で菅さんが、「将来的には消費税は引き上げるべきだ」と発言して大きな反響を呼び、翌日すぐ訂正しましたが、そのあたりも今後、論議を呼んでくると思います。

 菅さんは総務相を経験しており、最近しばしば「自助・共助・公助の考え方を大切にします」と述べています。これは「まずは個人が自助努力し、それで足りないところは家族やご近所など身近なコミュニティーで助け合う。それでも困った場合に、政府や自治体など行政が出動する」という、社会保障の世界では昔から言われている考え方です。

 これに対して、新しく誕生した立憲民主党の枝野幸男代表が「政治は自助を強く求めるべきではない」とかみついて、対抗軸を出そうとしています。

 小さい政府で自助を求めるのか、それとも若干大きな政府になってもしっかりケアしていくという方向を目指すのか。そうした選択肢を政治が用意して、国民が選択していく。新政権、新党ともに民主主義の原点に戻り、政治を活性化してほしいと願っています。(構成/久保田正志)