東京に憧れた千葉県民だった私「都民をやめてもいいんだなー」コロナ禍3カ月の大変化 (2/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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東京に憧れた千葉県民だった私「都民をやめてもいいんだなー」コロナ禍3カ月の大変化

連載「おんなの話はありがたい」

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北原みのりdot.#北原みのり
北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表

東京都知事選の候補者のポスターが貼られた掲示板

東京都知事選の候補者のポスターが貼られた掲示板

 こうなるとオフィスの意味も変わる。毎日必ずやって来て8時間過ごす場所ではなくなり、必要な時に来て作業をする場所になる。となると机は一人ひとり持つ必要はなく、シェアできる機能が求められる。大きなコピー機は不要になり、むしろ必要なのは入念に手を洗える広い洗面所だ。というか、そもそも高い家賃を支払い続ける意味もない。……そんなふうに試行錯誤しながら、この3カ月で私は会社のパソコンと机やいすを半分以上処分し、大家さんにお願いし、狭く暗い水場の壁を取り壊し、大きな洗面所をつくることにした。

 われながらすさまじい変化をこの3カ月で体験したが、ふと周りを見渡すと、もしかしたらこれは、ジェンダーも少し関係あるのかもしれないとも思う。特に「男は外・女は内」という古いジェンダー観を持つ男性中間管理職の話を聞くと、テレワークに不安を感じている人は少なくない。「管理が難しい」「コミュニケーション不足になる」などとテレワークに否定的だったりする。テレワークをさせない上司に「実際に会わないと微妙な表情の変化が分からない」と言われた知人は、「いったいいつ、私の表情を読み取っていただけたことあるの?」と本気で悔しがっていた。

 状況に応じて自分を変えられる力、コミュニケーションの力が、コロナ禍の仕事で問われている。何が正解なのか、今の時点では何も見えない。でも有限の命を、豊かで自由にするための仕事のあり方を、一つひとつ手にしたいと思う。

 今、私は都民をやめてもいいんだなーと思い始めている。都民に憧れた千葉県民の私だったのに……これも大きな変化だ。都知事選の候補者のポスターを街角で見て、息をのむような気持ちになっている。昔から個性的な人が一定数出る都知事選ではあるが、今回は個性的というよりは暴力的な気配すらある。夜の暗がりでポスターに出合うときなど、少し怖い。ヘイトスピーチを肯定し、自己責任論を振りかざすような候補者の面々。東京も、ずいぶん変わった街になった。そう、一寸先は闇。でもその闇を照らし変える自由を、私たちは手放さないことを意識したいと思う。結果によっては、都民をやめたくなったとしても。


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北原みのり

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表

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