■マスクなどの装備は足りていましたか。

 当院では、1月からマスクを一元管理していたので、何とか持ちこたえていました。それでも、原則は1日1枚に制限されていたし、医療用のN95マスクは滅菌した上で再利用していましたね。今は1日2枚までOKになっています。 
 
■現在の救急部門の状況は。
 
 6月3日以降、三次救急と二次救急が順次、患者の受け入れを再開し、10日には救急外来(ER)も再開しました。かかりつけ患者の急変時の診療と医師が乗り込んで病院前診療を行うドクターカーは、その前(5月11日)に再開しています。

 8日には、自宅待機になっていた医師や看護師がすべて解除になってスタッフがそろいました。新型コロナ病棟になっていたCCUやEICUを含む救命救急センター、救急全体の診療態勢も、徐々に通常に近い状態に向かっています。ただ、現在もまだ新型コロナの患者を受け入れており、完全な復帰にはもう少し時間がかかると思います。 
 
■今回の経験を踏まえ、今後、予測される第2波、第3波への備えはどのように。

 とにかく、もう二度と救急を止めないようにしたい、というのが第一です。新型コロナの治療と並行して通常救急もきちんと行っていくことが、地域全体の医療体制の維持にもつながります。そのため、新型コロナの流行状況によって院内の診療態勢を柔軟に変更できるよう、さまざまな準備を行っています。例えば、院内のゾーニングや、コロナ患者と非コロナ患者を治療する医師、看護師を分ける診療態勢作りなどですね。

 また、今回結果的にコロナ患者専用病床になった救命救急センターのCCUは、天井のダクトから排気口を設けて陰圧室に改良しています。すべて個室のため、今後、コロナの重症患者が入院する際にも活用できるはずです。

 さらに秋冬の流行期に向け、当院の駐車場にはコロナ専用の臨時病棟が建設される予定です。現在の予定では、14床の重症病棟で重症患者の集中治療管理、22床の中等症病棟で回復途上の患者のベッドとして、コロナ診療に特化します。この態勢が確立し、きちんと機能すると、本館では普段通りの通常診療を行うことができるはずです。

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